業界震撼!話題の「クルマにアルミテープを貼ると性能が高まる」は本当なのか?
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山田:クルマのボデーは、走行中いつも空気の抵抗を受けています。実はその空気の抵抗を受けていくとボデーは次第に電気を帯びてくるのです。これを帯電と言います。
――なるほど、空気抵抗によってボデーが電気を帯びるのですね……。でも、電気がクルマにどんな影響を及ぼすのですか?
山田:この帯電がクルマのいたる場所で空気の流れを乱します。例えばクルマ前部のバンパーに電位として+500V程度帯電すると、走行中、バンパーによって切り裂かれた空気がボデーから大きく離れてしまい、また空気の乱れそのものも大きくなります。同じく運転席や助手席横のサイドウインド部分も+1000V程度帯電すると、ウインドガラス表面を流れる空気が乱れてしまいます。こうなるとクルマの安定性が損なわれ走行性能が悪化してしまうことがわかりました。
――そういえば小学生の時、プラスチックの下敷きを着ている服でこすって静電気を起こして、自分の髪の毛を逆立てて楽しんでいましたが、そのときフワッとした空気の流れを感じたことがあったような……。これって今回のアルミテープと関係あります?
山田:確かに静電気でも引っ張る力が発生しますが、今回の理論は500Vとか1000Vといった高電圧での話ですのでちょっと違いますね。でも、電気が空気に影響を与えるという点では同じ考え方です。
――ちなみに帯電すると空気の流れが乱れて、空気の流れそのものがボデーから離れると言いますが、具体的にボデーからどれくらい離れると悪影響が出るのでしょうか?
山田:実はボデーから空気の流れが離れることが悪いのではなく、離れることで表面を流れる空気の速度が遅くなるために悪影響が出る、という表現が正しいですね。例えば、あるクルマでは、帯電するとボデー表面に流れる空気の速さ(流速)が、帯電していない状態から10~15%程度遅くなることがわかりました。
トヨタが「アルミテープ」で世間を騒がせてから1月あまりが経過した。ご存じない人のために少し解説すると、一般家庭で使われているアルミホイルの裏面がシール状になっているアルミテープをクルマのボデー各所に貼り付けるだけで、走行中にクルマが受ける空気の流れが落ち着いて走行性能が高まるというのだ。しかも効果は時速10km程度から出始めるという。ちょっと聞いただけで「なんだかとっても怪しいぞ!」と思った人は多いだろう。
この理論は、トヨタ曰く「ボデー各部の電位コントロールによるエアロハンドリング向上」ということなのだが、これを聞いてもなんのことだかさっぱりわからない。そこで、この理論を導き出した開発者の山田浩史氏(トヨタ自動車・車両技術開発部 動的性能技術開発室)に詳しく聞いてみた。
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