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相席居酒屋の隆盛で加速する「一億総水商売化」時代[コラム二スト木村和久]

― 木村和久の「オヤ充のススメ」その140 ―

 評論家の大宅壮一は、テレビ全盛を迎えた昭和30年代、国民は「一億総白痴化」になると危惧した。そして、相席系居酒屋や出会い系喫茶全盛の今、追いかける男も含め「一億総水商売化」になりつつあると、危ぶまれている。

 相席系居酒屋という、コロンブスの卵みたいな発明は、キャバクラやホステスにとっては大いなる脅威である。素人が勝手に、水商売を始めれるわけですから。面接をクリアし、ノルマのプレッシャーに耐えなくても、その店に客として行き、間抜けな客を捕まえればいいだけの話。相席系居酒屋は、無給と言っても、客との交渉で、いくらでも引っ張れる。交渉内容はともかく、駆け引きをすることにおいては、素人の方が大胆ですし。

 水商売の世界で、お客さんと休みの日に会って、食事や買い物をしたり、あるいはお小遣いをもらい、その先まで発展することを「裏っぴき」という。裏取引という言葉から、そういう言葉が出てきたのでしょう。裏っぴきという通り、水商売ではやってはいけない後ろめたさがあった。しかし、今の相席系居酒屋や出会い喫茶は、その裏っぴきが堂々とまかり通る。すでに表の取引となっているのだ。

 昔は水商売の女性の、思わせぶりな仕草や振る舞いに一喜一憂したものだ。「女は女優」なんて言われていたし。今や、思わせぶりは影を潜め、駆け引きが前面に出てくる。すなわち「女は交渉人」になってしまった。横文字で言うと「女はエージェント」である。「クレクレ女子」とも、「おねだり女子」ともいうが、男性側としては、あくまで有利な交渉をしないと。単にあげてたら、そりゃ、ただのミツグ君になってしまいます。

 この「一億総水商売化」は、いつ頃から始まったのか。きっかけは15年ぐらい前。風営法の取り締まりが厳しくなり、ITバブルがはじけた2000年過ぎに、ガールズバーが現れる。深夜営業ができて、お値ごろ価格で、しかも素人系が多いガールズバーは、不況の時代に大いにウケた。

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素人系の商売がウケるなら、店にいるコを客にしたらどうか?

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