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命からがら日本に入国してきたクルド人たち。難民認定されず“仮放免”のまま…

命からがら入国しても立場は宙ぶらりんのまま

トルコ南東部に位置し、シリアとの国境に接するガズィアンテプ県から逃れてきたヤスミンさん(右)とオズラムさん(左)

 さっそく公民館に足を運んでみると、ベビーカーを押した異国の若い女性たちが集まっていた。彼女たちのほとんどはまだ日本語を話せない段階だが、そのうち日本在住歴の長い2人の女性が取材に応じてくれた。  来日して6年になるオズラムさん(22歳)は、トルコ政府によるクルド人迫害の様子を語る。 「ディヤルバクルというクルド人がたくさん住む街は、トルコの軍隊に攻められて地震が起きたように壊されています。クルド人は家の外に出るのを禁止され、スーパーを閉められて、食べ物も飲み物も何も買えない状態。病院も学校も閉じられ、クルドの子供たちはずっと家にいるだけです」  クルド独立を掲げる武装組織クルディスタン労働者党(PKK)とトルコ軍は、30年以上にわたって戦闘を続けており、一般市民にも被害が及ぶ。こうした状況を避けて世界中にクルド人は逃げ散っている。来日して10年になるヤスミン(34歳)さんは言う。 「日本に住んでいるクルド人は少ないですが、イギリス、ドイツ、イタリア、オーストラリアには、たくさんいます。韓国にも中国にもいます。どこに行ってもトルコよりはマシです」  韓国はともかく共産党独裁の中国にすら逃げ込むとは、よほどトルコはクルド人にとってひどい国らしい。だが、ようやく辿り着いた日本でのヤスミンさんの法的な立場は極めて不安定なものだ。 「難民として認定されるように入国管理局に申請していますが、8年間ずっと仮放免の状態です」  難民認定されれば、日本に住み続けるための在留資格を得て就労することが可能となり、健康保険などの公共サービスを受けられる。この難民認定がされない外国人については、本来なら国外退去処分の対象となり、その前段階として収容所で拘束されるのだが、入国管理局に一定の保証金を納付することで“シャバ”での自由が得られる。これを仮放免と呼ぶ。いわば入管行政の隙間である。 「私の夫も仮放免だから、日本で生まれた子供3人も仮放免の身分です。小学校に2人、幼稚園に1人。公文式に通っていて、ドラえもんとクレヨンしんちゃんが大好き。親に口答えするときは日本語で言ってきます。お寿司とラーメンが大好物で、イスラムの子供なのにチャーシューもおいしいと言います。ここは日本だからそれでいいと思います。でも仮放免です」 ― 徹底ルポ[ニッポンの難民]を考える ―
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