ロックとトリプルHのライバル物語・序章――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第243回(1997年編)
新チャンピオンとなったロックは試合終了後、マイクをつかみ「父(ロッキー・ジョンソン)と祖父(“ハイチーフ”ピーター・メイビア)に感謝したい」とコメントしたが、アリーナの一部からは“ロッキー・サックスRocky Sucks(ロッキーなんかクソ食らえ)”のヤジが飛んだ。
それはロックに対する罵声というよりは、あまりにもイージーに“スター誕生”の舞台をプロデュースしてしまったWWEに対する観客サイドからのささやかな抵抗だった。
WCWとの“月曜TVウォー”が激化の一途をたどるなかで、ライバル団体WCWの“マンデー・ナイトロ”はnWo路線のヒットと一般視聴者層をターゲットにした番組づくりで“マンデーナイト・ロウ”との視聴率争いを確実にリードしていた。劣勢に立たされたWWEを献身的にサポートしていたのは、こういった主義・主張のあるマニア層だった。
特番“木曜ロウ”から3日後、2.17PPV“イン・ユア・ハウス13/ファイナル4”ナッシュビル大会の第3試合にラインナップされたロック対トリプルHのリターンマッチは、どうやら新しいドラマのプロローグになっていた。
試合開始から12分経過の時点でゴールダストがリング下に現れ、トリプルHを挑発。両者が口論をはじめたところでロックがハンターのバックにまわり、そのままバックドロップ・ホールドでフォール勝ち。インターコンチネンタル王座初防衛に成功した。
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