地球は温暖化していない!? トランプ就任で世界の潮流は変わるのか?
実際に日本は温暖化しているではないか、自分はそれを体験したという声があるだろう。実は気温上昇には大きな地域差があり、過去80年間で東京は2.5℃も上がっている。対して中都市では1.5℃程度、都市を離れたところでは1.0℃以下でしかない。都市の気温上昇は「ヒートアイランド効果」という熱放出の集中が主な原因だという。
「この20年間は気温の頭打ちが続いていて、2015年にはいったん過去最高値になりましたが、2016年には急降下して1998年以前の水準に戻りました。1998年と2015年の高温は大きなエルニーニョ現象であって、温暖化とは関係ありません。このところ、欧米では冬の寒冷化が顕著で、それによる死者が急増しています」
12月24日のドイツのブログサイトに掲載された統計によると、過去3年間に発表された論文のうち、気候変動のCO2主因説を疑問とするものが約800篇、太陽活動変化を主因とするものが約300篇に上るという。気候科学はすでに大きく変わりつつあるのだ。
そして深井氏は「CO2排出を減らすことにメリットはないので、そのための支出や環境対策で産業を弱体化させてはいけない。巨額の財政赤字を抱えている日本には、そのような無駄な支出をする余裕はないはずだ」と警鐘を鳴らす。
トランプ大統領の誕生に際し、ドイツのピーター・ヘラー博士(物理学)は「トランプの選出は世界の気候政策に理性を取り戻す好機である」と述べている。暴言王と呼ばれ、決して科学に明るいとは思えないトランプが気候政策と科学を転換するというのは何とも皮肉なこと。世界の情勢がこのような転換を迎えるなか、日本の政治家や気候学者にも科学にもとづく正しい判断が強く求められているのだ。
【深井有】
1934年生まれ。東京大学理学部物理学科(地球物理学専攻)卒。同大学院数物系研究科博士課程修了。理学博士。中央大学名誉教授、東京大学生産技術研究所客員研究員。近著に『地球はもう温暖化していない』
<取材・文/北村篤裕>
『地球はもう温暖化していない』 「地球温暖化」の真実が暴かれる |
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