更新日:2022年08月19日 10:17
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老舗サウナ「グリーンプラザ新宿」のクリスマス閉館にオッサンたちが大挙襲来、サウナ室を占拠

ラストロウリュに異常事態発生

 近年のグリーンプラザの名物といえば、“新宿初”を掲げるロウリュサービスが挙げられます。通常は70度前後の低温設定のサウナ室に定時になると“熱波師”が登場。サウナストーンにアロマオイルをかけて高温の蒸気を発生させ、熱波師がタオルで空気を循環させます。  25日午前1時がグリーンプラザのラストロウリュとなります。サービスの恩恵を受ける条件は「定刻に定員10名のロウリュサウナ室にいる」ことです。24日午後11時の“セミファイナル”は志願兵が殺到したため2回行われましたが、ラストロウリュは“1回限り”と注意書きの看板がサウナ室前に立てられています。 午前0時30分 ロウリュサウナ室は満室です。「誰か出てくるだろう」とサウナ室前には行列ができます。 0時40分 ロウリュサウナ室からは誰も出てくる気配がありません。行列の様子を見ていた熱波師が言います。「これは……今、室内にいるメンバーでロウリュが始まるだろう」と。行列集団がざわめきます。「全員1時まで、30分以上はサウナに入って、それからロウリュ受ける計算になるぞ」「死ぬぞ、死ぬ気か?」「一番早い人は1時間前から入ってるらしい」「大丈夫なのか、水分補給はしているのか?」 老舗サウナ「グリーンプラザ新宿」のクリスマス閉館にオッサンたちが大挙襲来、サウナ室を占拠 行列集団の一人が「どうしてもアンコールはしないのか?」と熱波師に詰め寄ります。熱波師の返答は「申し訳ありません」。その言葉を合図に行列集団は雲散霧消します。室内の様子を外から伺います。皆、汗を流しながら、覚悟を決めた表情をして、刻一刻と時間が過ぎるのを待っているようです。 午前1時 結局、サウナ室にいた全員が、30分以上耐えたまま、ロウリュが始まりました。外からは熱波師が奏でる「ボフッ、ボフッ」というタオルの乾いた音と、ラストロウリュを受けながら恍惚の笑みを浮かべる猛者たちが確認できます。低温サウナとはいえ、30分以上もの長時間、サウナ室に入りロウリュを受けることは並大抵ではありません。グリーンプラザのラストを盛り上げるべく、鋼の肌を持つサウナ猛者が集結したのでしょうか。  クリスマスのこの日、この時間。ロウリュサウナの室内には、熱波師を含めた11座の“男の星座”が煌めいておりました。端から見ていた記者はこの11名を勝手ながら「Shinjuku’s11(シンジュクズ11)」と命名しました。  やがてロウリュは終わり、万雷の拍手とともにShinjuku’s11は一人、また一人とサウナ室を後にします。表情の一つひとつに“やり遂げた感”が満ち溢れており軽い嫉妬を覚えましたが、老舗サウナのラストイベントを飾るにふさわしい一幕でありました。

閉館5分前。ギリギリまで寝ようという人もチラホラ見受けられました

 その後、カプセルルームで眠りにつき、朝10時を迎えました。カウンターではあまり目にしない背広組のスタッフが総出で、「ありがとうございました、いってらっしゃいませ」と送り出してくれます。新宿からサウナの灯が一つ消えた日の朝は、清々しいほどの冬晴れでありました。〈取材・文/スギナミ〉
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