ザ・ロックがWWE世界王座奪取@サバイバー・シリーズ――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第304回(1998年編)
ロック対マンカインドのトーナメント決勝戦は、両選手がそれぞれのシグナチャー・ムーブを惜しみなく披露してのシーソー・ゲーム的な展開となったが、試合開始から15分経過の時点でまたしてもビンスとシェーンのマクマホン親子がリングサイドに出現。それから数分後、あっと驚く大ドンデン返しが待っていた。
リング中央でロックがマンカインドをシャープシューターの体勢にとらえた瞬間、リング下にいたビンスがオーナー権限で(?)試合終了のゴングを要請。強引に試合をストップし、チャンピオンベルトをロックに渡した。
それはあの衝撃の“モントリオール事件”のセルフ・オマージュだった。ちょうど1年まえの1997年11月、舞台も同じ“サバイバー・シリーズ”で、ビンスはこれとまったく同じ方法でブレット・ハートの腰からWWE世界王座をひっぺがした。
ビンスはこんどはWWEのいちばん新しいキーパーソンであるロックを新チャンピオンに仕立て上げたのだった。
試合終了後、ロックとビンスはリングのまんなかでがっちりと抱き合い、陰謀の成功を確認した。ピープルズ・チャンピオンとして超ベビーフェースの道を歩みはじめていたかにみえたロックは、じつは水面下で“悪の首脳部”と結託していたという事実が明らかになった。
この日、“サバイバー・シリーズ”はキール・センターに1万9322人の大観衆を動員(興行収益はミズーリ州のインドア・スポーツ・イベントの新記録となる47万845ドル、グッズの総売り上げは14万7448ドル)。
翌11月16日、ケンタッキー州レキシントンから全米生中継がおこなわれた“ロウ・イズ・ウォー”もラップ・アリーナに1万7610人の観衆を動員した(興行収益は32万6193ドル、グッズ売り上げは10万568ドル)。
テレビ業界誌『ショータイム・イベント・テレビジョン』によれば、この年のプロレス(WWE、WCW、ECWの3団体)のPPV収益の合算は10月までの集計で前年比27パーセントアップの1億7800万ドル。最終的には2億ドルを超えるといわれた。
『ニューズウィーク』誌をはじめとする大メディアがプロレス・ブームに注目しはじめていた。(つづく)
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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