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“大化け”ロックのピープルズ・エルボー ――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第301回(1998年編)

WWEオフィシャル・パブリシティ・フォト

“ザ・ロック”ロッキー・メイビアがついに大ブレイク? ストーンコールドのWWE世界王座転落とロック株の急上昇はじつはワンセットのプレゼンテーションになっていた(写真はWWEオフィシャル・パブリシティ・フォトより)

 9.27PPV“イン・ユア・ハウス/ブレイクダウン”(1998年9月27日=カナダ・オンタリオ州ハミルトン)はグッド・ニュースとバッド・ニュースが混在した、いまになってみるとWWE史のなかのひとつのターニングポイントともいえる不思議なイベントだった。  バッドニュースは、“トリプル・スレット”(3選手が同時にリング内で闘う試合形式)でのひじょうに不可解なWWE世界ヘビー級王座移動とビンス・マクマホンと“悪の首脳部”による“ベルト持ち逃げ事件”というライブの観客にとってはなんとも消化不良なエンディング。  グッド・ニュースは、うわさのロックこと“ザ・ロック”ロッキー・メイビアの“大化け現象”だった。  9.27“ブレイクダウン”はコップス・コロシアムに1万7405人の観衆を動員(興行収益32万2099カナダ・ドル、グッズ販売収益は13万8894カナダ・ドル)。PPVのプレビューとして全米生中継された1時間番組“サンデーナイト・ヒート”のTVマッチ3試合、PPV本編9試合の合計12試合、全編4時間超の“大作”はカジュアル層の観客にとってはやや消耗度が大きかった。  PPVのラインナップは(1)オーエン・ハート対エッジ(2)アル・スノー&スコーピオ対ブライアン・クリストファー&スコット・テイラー(3)マーク・メロ対ダレン・ドラズドフ(4)ブラッドショー対ベイダー(5)ディーロウ・ブラウン対ギャングレル(6)“金網トリプル・スレット”=ロッキー・メイビア対マンカインド(ミック・フォーリー)対ケン・シャムロック  (7)ヴァル・ビーナス対ダスティン・ラネルズ(8)Xパック&ニューエイジ・アウトローズ(ビリー・ガン&“ロードドッグ”ジェシー・ジェームス)対ジェフ・ジャレット&サザン・ジャスティス(デニス・ナイト&マーク・カンタベリー)(9)WWE世界選手権“トリプル・スレット”=“ストーンコールド”スティーブ・オースチン対ジ・アンダーテイカー&ケインの全9試合。  オープニング・マッチでオーエンと対戦したエッジは、この時点ではWWE入団1年めの無名のルーキー。エッジの“親友”でWWE同時入団のクリスチャン(当時のリングネームはクリスチャン・ケージ)が試合終了直前に“なぞの人物”としてリングサイドに出現した。
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第4試合では…
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