侍ジャパン・小久保監督、エース菅野も評価する「最弱捕手」の成長
ピンチは突如訪れた。8日に行われたWBC1次ラウンド、対オーストラリア戦(4-1で勝利)。日本は2回裏にホームランで1点を先制されるも、5回表に前日のキューバ戦勝利の立役者、松田の犠牲フライで同点に追いついた直後だった。
5回裏が始まる前まで48球と理想的に球数(WBCの1次リーグは65球の制限)を重ねていた先発投手・菅野が、先頭打者にデッドボールを与え0死1塁、8番のオルチェンを三振に斬って取るものの7球を要した。9番打者のハーマンには9球粘られ、球数制限の65球に達してしまった。5回を投げきれるものと誰もが信じて疑わなかった菅野だったが、この回18球。結局ハーマンにはショートへの内野安打を喫したところで、2番手の左腕・岡田に交代を強いられた。しかし、その岡田は1死1、2塁で1番打者のカンディラスにワイルドピッチ、その後ストレートの四球を与え、満塁の大ピンチを作ってしまった。
1死満塁、たまらずタイムを掛け、マウンドに駆けつけた権藤ピッチングコーチは、岡田を叱咤激励した。しかし、続く2番打者・ベレスフォードには明らかなボールを2つ与え、カウント2ボール0ストライク。東京ドームに詰めかけた観客が「押し出し逆転」という最悪の事態を覚悟した瞬間、キャッチャーの小林誠司がタイムをかけ、マウンドの岡田のもとに走った。そして岡田が次に投じた“初めてのストライク”は、名手・菊池への速いゴロとなり4−6−3、この日2つ目の併殺を完成させ、最大のピンチを脱した。
記者会見で、オーストラリア戦の評価を聞かれた小久保監督は、菅野の粘りの投球や中田の勝ち越し、筒香のダメ押しホームランとこの日のヒーローの名前を挙げつつも、「言い忘れたことがある」と記者を制し、「あの満塁の大ピンチでの投手に声をかけるタイミングは絶妙だった」と小林に賛辞を送った。
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