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なぜ、今の子供には塾が必要なのか? 学校教育の現場に異変あり

――偏差値を上げていい学校に進学するレベルの学力ではなく、基本レベルであれば、塾や教師、親のフォローがなくても、独学でなんとかなるというのは厳しい考え方なのでしょうか。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1316236

つばめ塾の卒業文集を読むと、明確な将来の進路や努力することの大切さなど、明らかな変化が見られる

小宮:たとえば中学生。現在、およそ7割の子供は何らかの目的で塾に通っています。そうした環境下において、学校の勉強についていけてない子供に“自己責任”を求めるのは酷な話ではないでしょうか。「みんなが塾に行ってるのにオレだけ通えない」って気持ちになるの自然ですから。 「学校の先生は塾で教えてもらえっていうけど、塾には行けない。先生も親も、誰もオレのことなんてフォローしてくれない。どうでもいいんじゃね、将来」となります。学力至上を主張するつもりはなくて、要は目標や進路に向かって、一緒に併走してくれる“オトナ”の存在が必要なんです。  以前、刑期を終えた人の再犯防止活動をするボランティアさんとお会いしたとき、「犯罪を犯す人は、何も思い出がなかったり、自分のことなんかなんの価値もない人間と思っているという大きな特徴がある」と話していました。思い出もない、家族もない、自分のことを思ってくれる人がいない。だから、「オレなんか人を殺そうがシンナーを吸おうが関係なくね、オレの人生だから」というのがあるというのです。自分のことを大切にしてもらえない人間が、自分のことを大切にすることはないんですよ。 ――勉強がすべてではないけれど、勉強という軸と、その周りにある「非認知的能力」の向上が、今の子供に塾が必要な理由でもあると。 小宮:つばめ塾では、カリスマ講師みたいにこの黒板を写せば全部問題が解ける、みたいな魔法のようなことを教えるわけではありません。「お前宿題どうなっている? テストどうなっている?」と気にしてくれて「よし、宿題頑張ってやろうぜ」って大人がフォローしてくれる環境が重要だと思ってます。ボランティア講師も様々な大人たちがいます。新聞記者の人もいれば、僕みたいな学校の先生もいるし、一般企業のサラリーマンも、おじいちゃんおばあちゃんもいる。経済的に困窮した家庭では大人同士の人間関係も希薄で、それが孤立化にも繋がり、部屋でひとり「オレ勉強がまったくわかんねぇけど、いいんじゃね」となりがちです。そうではなくて、周りの多種多様な大人たちと社会性を高めるなかで、自分で意識して努力する。そういうことをした経験というのが、この後の人生にも生きてくるはずだし、本人の人生にプラスになるのだと思います。  自治体によって違うが、たとえば東京都の場合、生活保護家庭には塾代の補助が出る。また、収入等、限られた条件をクリアした母子家庭などを対象にした公の無料塾も存在する。公金を受けない民間NPOの無料塾であるつばめ塾が受け入れるのは、そうした最貧困層には属さないけれども、子供の勉強にかけるギリギリの時間、人員を確保できない“目に見えない”貧困層の家庭が大半である。いずれにしろ“プラスαの学力向上を目指す”という、塾に持っていた固定概念は見直す必要があるだろう。 【こみや・たかゆき】 国学院大学卒業後、私立高校の非常勤講師(地歴科)、映像制作の仕事に携わる。貧困地帯の取材、被災地でのボランティア活動をきっかけに、無料塾「八王子つばめ塾」を開講する 〈取材・文/日刊SPA!取材班〉
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