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なぜ、今の子供には塾が必要なのか? 学校教育の現場に異変あり

 子供一人あたり、オール私立で約2500万円、オール国公立で約1100万円かかるのが、世界一高いといわれる日本の教育費(数値は文部科学賞「子供の学習費調査」より)。この金額には塾など学校外活動費も含まれるが、もちろん、すべての家庭の子供が学習塾に通えるわけではない。そんな経済格差による学習機会の不公平を是正するため、昨今、ボランディアの講師を集めて運営される「無料塾」が増えてきている。JR八王子駅から徒歩圏にある無料塾「八王子つばめ塾」(以下、つばめ塾)もその一つだ。

「自分も貧困層だった」と語る小宮理事長。やる気はあるのに親の金銭事情で進学をあきらめる子を一人でも減らしたいという思いで、無料塾を開講した

 経済的な理由で学習塾に通うことのできない子供に新たな門戸を開いたつばめ塾は、4年半で延べ250人の生徒を受け入れ、約60人のボランティア講師が支援するほどに大きくなった。その一方で、「塾は贅沢品。学校教育をきちんとこなしていれば必要ない」という声もある。確かに、筆者(39歳)の子供時代、塾に通う同級生は少数派だったようにも思える。なぜ現代っ子には塾が必要なのか。その疑問を理事長の小宮位之(たかゆき)氏に問いかけてみた。

――「学校があるなら塾はいらない」という意見もあると思いますが、なぜ、無料にしてまで塾が必要なのでしょうか。

小宮:特に都会において、公教育のあり方が昔と今では違っています。現代では、小・中学校が授業に付いていけなくなった子どもに対して、フォロー仕切れていません。なかには「塾前提」で授業を組み立てている学校もあって、「こっから先は塾でやるから授業で教えなくてもいいよね」とか「これ塾でやっているよね(だから教えなくてもいいよね)」などと平気で言う先生もいるんです。公教育がフォローしきれていない分、どこかがフォローしなければいけない。つまり、塾か、経済的に厳しければ、お父さんお母さんが家でつまずいているところをフォローしてあげればいいわけですが、経済的にも人員的にもそれができない家庭も存在します。シングルマザーであったり、余剰資金のないフルタイムの共働きの家庭であったり。それがつばめ塾にくる層と合致しているわけです。

――最近では公教育の“補修”部分を塾が担っていると。なぜ、学校で最後まで見てくれないのでしょうか。昔は赤点を取ったら居残り授業とかザラにあった気もしますが……。

小宮:とにかく学校の先生が忙しすぎます。要因の一つにモンスターペアレンツの問題があります。現役教師に聞いた話ですが、夕方、とにかく親の電話がものすごい掛かってくると。「○時に帰ってくるから、電話して報告してくれ」とか。ものすごい数だそうです。その対応に正直、時間が割かれると。

 二つ目は書類の多さ。校長や教頭先生は、口を開けばとにかく「書類出せ」「お前の書類だけが出していないんだから、市にだせないだろう」の一辺倒。文科省や自治体からいろんな調査、アンケートがいっぱいくると。その時間が膨大に取られる。現場の仕事を増やしているのに「仕事の具合はどうですか?」とか聞いてくるのだけど、「それに答えている時間がもったいない」といいます。

 他にも部活の顧問をしたり、問題行動を起こす子の面談を行ったり。そういうことに時間を割いていると、授業のフォローもたまにしかできない。ただ、学習って毎日のことなので、1週間に1回など継続しないと意味がない。3か月に1回、数学をやっても何の意味もないんです。だから塾みたいに必ず面倒を見てくれるところが必要になってくるわけです。

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独学でなんとかするのは厳しい考え方?

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