駅前に出没、フィリピン系「ニセ募金ボランティア」を追う。あの許可証は本物?
駅前や繁華街に出没する東南アジア系の募金集団を見かけたことはあるだろうか? SNS上では「詐欺」「ニセ募金」と指摘されているが、果たしてその実態は? 記者が街に出てその正体を調べてみた!!
東京・新宿駅東口の駅ビルの通路で、フィリピン人とおぼしき東南アジア系の男性が人懐っこい笑顔で「スイマセ~ン」と声をかけてくる。立ち止まると、手に持ったカードを差し出した。カードには日本語で、こう書かれていた。
「わたしたちはアジアのめぐまれないこどもの、ためにかつどうしている。ボランティアです。よろしければしょめいとぼきんをおねがいします」(原文ママ)
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しかし、募金箱らしきものは持っていない。「駅構内での募金活動の許可は取っているのか?」と尋ねると、たどたどしい日本語で「許可はある」と言う。許可証を見せてと言うと、折りたたんで手帳に挟んだA4サイズの白い紙を広げて見せてくる。「Children’s Joy Foundation Japan」と書かれた、登記簿謄本のコピーだ。
それは許可証ではないと指摘しても「違う、許可証。お巡りさんも許可してくれた」と言い張る。試しに笑顔でこう言ってみた。
「お巡りさんに聞いてみよう」
一緒に交番に行くと、警察官も「謄本は許可証じゃない。ダメだよ」と男性に注意するが、なおも「許可はある」と言い張る。そのまま交番の中に連行された。
数時間後、駅に戻るとまた同じ男性がいた。警察から解放され、性懲りもなくまだ無許可の募金を続けていたのだ。
「あっ、さっきの!」
男性は、記者の言葉にハッとしたような表情を見せてから、足早に逃げていった……。
こうした手口の募金集めは、首都圏のターミナル駅を中心に2年ほど前から目撃されていた。当時、朝の情報番組がこの問題を取り上げた際、封筒に貯まった募金でジュースを買ったり、電車の切符を購入している姿が放映されたため「フィリピン人による募金詐欺」として有名になった。その後、一時は鳴りを潜めていたが、最近になって再び繁華街での目撃情報が増え、今では地方都市にも出没。同じ手口が、かなり広範囲で蔓延しているようだ。
取材中、渋谷駅周辺で、少なくとも総勢5人ほどのフィリピン人らしき女性が同時に募金を集めている場面に出くわした。手口は冒頭のものと全く同じだ。誰一人、募金箱らしきものは持っていない。信号待ち、待ち合わせ、喫煙中などで立ち止まっている人々に声をかけているが、ネット上でも悪評が広まっているせいか、お金を出す人はほとんどいない。
「許可証はあるか?」と尋ねると、「アルヨ!」と言って、今度は「渋谷警察署」の文字が入った道路使用許可証らしきものを、一瞬だけ見せてくる。近くの交番で尋ねると、警察官は「よく聞かれるので確認したが、彼らが持っているのは正規の許可証だ」と言う。どうやら渋谷駅前では、登記簿謄本を許可証と偽ることはしていないようだった。
喫煙所の前で、女性に声をかけられお金を出しそうになっているスーツ姿の男性がいた。「やめといたほうがいいですよ」と声をかけると、女性から「邪魔しないで!」と怒鳴られた。「日本語がわかるのか?」と尋ねると、「わからない」と言う。ところが記者が男性に「ネットで話題の募金詐欺ですよ」と言うと、女性は「詐欺じゃないんだよ!」と喚きだした。
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全く悪びれることがない彼らだが、警戒心は強い。その場で問い詰めると、募金をやめて帰るときは周囲を警戒しながらダッシュで姿を消す。翌日、同じ場所に行っても姿は見せず、ツイッターで確認すると、別の駅での目撃情報が投稿されている。こまめに活動場所を変えているのだ。
募金箱も許可証も持たずに活動する怪しすぎる集団!
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