更新日:2017年06月15日 17:43
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駅前に出没、フィリピン系「ニセ募金ボランティア」を追う。あの許可証は本物?

登記簿にあった日本法人に突撃!

 新宿駅前で見せられた登記簿謄本をもとに、団体の素性を調べてみた。ネット上では、募金を求められた際に「NPO法人」と説明されたとする情報もあるが、先ほど確認した名称のNPO法人は存在しない。あるのは同名の一般社団法人だけだ。設立は’14年。  法人が置かれている住所に行ってみた。都下某所にある8階建てのマンションだ。オートロックで中には入れないので、登記されていた部屋番号のインターフォンを鳴らしても応答はなかった。郵便受けには、法人代表者である日本人の名前ではなく、アルファベットで外国人の名が貼ってある。  一方、同団体のウェブサイトには「牧師がフィリピンで設立した財団」という日本語の説明はあるが、募金の会計報告などは一切ない。日本法人の所在地すら書かれておらず、寄付の入金先はアメリカ、カナダ、フィリピンの銀行口座だけ。日本での活動実態すらはっきりしない……。  内閣総理大臣の諮問機関である公益認定等委員会に尋ねると、担当者はこう説明した。 「その団体は一般社団法人なので、NPO法人などの公益法人ではありません。一般社団法人は行政の認証などを得る必要がなく、事業報告などの提出の義務もなければ、特に所轄の官庁もない。会社法人と同じように、手続きを踏めば誰でも登記できるのです。一般社団法人でも活動の公益性が高いと認められたものは公益社団法人として認証されますが、それがないのが一般社団法人です」  つまり、この外国人による募金集め団体はNPO法人などの公益法人ではなく、事業報告や会計報告を彼ら自身が公開していない以上、活動の公益性を証明するものは何ひとつないということだ。もちろん、通行人からかき集めた募金が適正に使われているかどうかを確かめるすべもない。  消費者問題に詳しい弁護士の山口貴士氏はこう指摘する。 「仮にNPO法人ではないものがそれを名乗ってカネを集めれば詐欺になる可能性もあります。しかし、その点を除けば、募金についての会計報告がないというだけでは募金が本来の目的に使われていないと断言することはできないので、詐欺とは言い切れません。登記簿謄本を募金の許可証だと偽っていたとしても、金銭を出させるための嘘ではない限り、詐欺と認定することは難しい。いずれにせよ、使途や団体の素性がハッキリしない募金は、騙されるリスクがあるものと考えておいたほうが無難ではないでしょうか」  詐欺とは言い切れないまでも、かなり怪しい。うかつにカネを出したり、署名をするのはやめたほうがよさそうだ。 取材・文・撮影/藤倉善郎 金地名津 ― フィリピン系[ニセ募金ボランティア]を追う ―
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