ついに首長族の地・チェンマイへ到着
その数時間後、無事に目的地のチェンマイに到着した。まだ周囲にいるファランがミラーボールを抱えた僕を見てヘラヘラと笑っているが……。
「コッチはそれどころじゃないよ! 首長族に会えるんだから!」
チェンマイ駅に着いて、すぐに聞き込み調査を開始。すると、トゥクトゥクのオヤッさんが「首長族の居場所を知っている」という。しかも、ココから
30分ほどで行けるそうだ。
「えっ……たったの30分?」
首長族といえば、僕はてっきり『ウルルン滞在記』ばりに密林地帯の奥地に行かなければならないものだと思っていたのだが。30分って、意外と近い。そのとき、なぜか嫌な予感もしていたが……。
「まぁ、それでも首長族だぜ!」
タイ人さながらのマイペンライ精神で気持ちを切り替えた。そして意気揚々とトゥクトゥクに乗り込み、目的地に向かう。カメラとミラーボールを両手に、今まさに集落へ乗り込もうとしている自分に酔いしれながら。走ること30分。
オヤっさんが「着いたぜ、ココだ」と言う。しかし、なぜか“
入場料500バーツ”を請求される。どういうことなのか……。村の入り口みたいな場所に到着すると、奥の方にはテレビで見たような衣装を着た首長族たちが5、6人。やっと出会えた……と感動する間もなく、道の両脇には
色鮮やかな露店や土産屋がビッシリと並んでいるのだ!
そして、やり手ババアみたいな女性が、冒険野郎の僕に……はるばる20時間かけて首長族の村まで会いに来た、この僕に……こう言い放ったのだ!
「
ひゃくえん」
ひゃ、ひゃ、ひゃくえん……って、日本語の?
「
これ、ひゃくえん」
この瞬間を心待ちにしていた僕に、首長族の女性が放った言葉は「
100円」だった。よくわからないお土産の値段だ。
そうなんです。どうやらチェンマイの首長族は、その文化を観光客に魅せることで生計を立てているらしい。村の至るところには伝統衣装の洗濯物も干してあったが、もう何年も取り込んでいないカピカピの状態だった。もはや完全に見世物として置いてあるだけなのだろう。
「ココまで何しに来たんだろう……」
僕は落ち込みながらもカメラのシャッターを押した。意外とフランクに撮影させてくれる。それはうれしいのだが、そもそも狙っていた“首長族の伝統的な姿とミラーボール”のギャップが思ったほど出ない……!?
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1350639
そしてチェンマイ駅へと戻ると、まだメシを食べていないことに気付き、適当な食堂に入った。そこで、『海外アングラ旅行』の著者である藤山六輝氏にLINEで実態を報告してみると、「今ではアフリカのマサイ族をはじめ、多くの民族が外国人を相手に観光ツアーなどを行っている」そうだ(ガックリ)。
しかし、ここで藤山氏から救いのひと言が!?
「チェンマイよりも田舎のメーホンソンにいる首長族(カレン族)のほうがまだマシでは」
初耳だぜ! ココまできたら行くしかない。そんなワケで、僕は食堂を飛び出した。