自宅療養中のショーン=シックスの“月曜の夜”――フミ斎藤のプロレス読本#104【ショーン・ウォルトマン編エピソード4】
朝っぱらから電話をかけてくるのは、やっぱりボーイズである。べつに特別な用はなくても3日にいっぺんくらいああでもないこうでもないと長電話をする相手がケビン・ナッシュで、「急用だ急用だ」といって1日おきに――ほんとうはそうでもない――大事件をこしらえるのがスコット・ホール。ウルフパックの絆はやっぱり強い。
月曜の夜は“WCWマンデー・ナイトロ”を考える時間になる。テレビのこっち側にいると、画面のなかにいたときはみえなかったものがはっきりとみえてくる。
試合がじっくり観たいなんてあわい望みを抱いていると、すぐにnWoが乱入してくる。2時間ワクの番組のなかにプロモ・インタビューが10本もつめ込まれている。
リモコンのスウィッチを押せば、テレビの画面はさっとWWEの“ロウ・イズ・ウォー”に変わる。きっと、アメリカじゅうのプロレスファンが毎週月曜の夜、こうやってリモコンを片手にふたつのプロレス番組をちょっとずつ同時に視聴しているのだろう。
観る側としてはどちらの番組もしっかり観たいのである。リングから離れていると、目の高さがテレビのこっち側にいる人たちのそれに近くなってくる。いくらイライラしてもあと何カ月かはこうしていなければならない。
ウィークエンドになると、ミネソタのどこかでインディペンデント団体のハウスショーがおこなわれている。きっと友だちが試合に出ているから、地図とにらめっこしながら知らない町の知らない体育館やコミュニティー・ホールを探してみるのも悪くない。
ミネソタの冬は長い。真っ白い雪が地平線までつづいている。ショーンは、あたたかい春の訪れをじっと待っている。
※文中敬称略
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文/斎藤文彦
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