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卵1パック2000円 昭和30年代は本当にいい時代?

昭和ノスタルジー昭和を懐かしむノスタル爺にとって、昭和30年代は高度経済成長の時代だった。テレビなどの家電製品も行き渡り、人々の暮らしはどんどん豊かになっていく。今日のような高い失業率に悩まされることもなく、社会は活力でみなぎっていた。また、人情が都会でも残っており、皆が助け合って生きていた……というが果たして?  映画『ALWEYS 三丁目の夕日』の舞台は昭和30年代だが、当時の社会状況を検証した『昭和33年』(ちくま新書)の著者・布施克彦氏は次のように語る。 「“神武景気”と呼ばれる好景気が終わって経済は収縮し、人々はこの先どうなるのかという不安のほうが大きかったんです」  幸い間もなく高度経済成長期が始まるのだが、ただし、希望に満ちた昭和30年代というのは一面であって、若者にとっては今では考えられない“現実”もあった。  確かに好景気から職はあった。当時の失業率が2%台と今の半分以下。しかし、その内実は、例えば集団就職のようにほとんどの若者は仕事の選り好みなどできず、「15歳で人生の進路を決めなければいけないので、“自分探し”などをしている暇はなかった」のだ。  また、昭和33年の大卒初任給は平均1万3500円だが、大学進学率自体が20%以下。大半の若者はそれよりはるかに安い賃金で働いていた。職種にしても爆発的に増えた建築工事における日雇いの肉体労働で凌ぐ者も少なくなく、それも含めての“職がある”だったのだ。そこにあぶれるとセーフティネットもない社会でもあった。 「昭和33年の自殺率は現在より高く、若者の割合が高い。理由として進学の失敗も考えられます」  また、今では許されない差別も普通に横行しており、「母子家庭というだけで、どんなに成績がよくても就職試験に落とされることもあったし、社内でのセクハラ・パワハラも当たり前にありました」  男女差別も当然で、同じ大卒でも初任給は1割ほど男のほうが高かった。また、給料は右肩上がりといっても、必需品である食品も高かった。今の感覚でいうと、卵1パック2000円、安い牛肉でも100g500円といった具合で、200円台で牛丼が食べられるような時代ではなかったのだ。昭和33年のエンゲル係数は41.2%と現在の倍近くあり、いかに食うのに大変かがわかる。 1/31発売の週刊SPA!「昭和ノスタルジーが日本を滅ぼす」では、昭和を讃美する風潮に疑問を呈している。<取材・文/週刊SPA!編集 イラスト/スズキサトル>
週刊SPA!2/7号(1/31発売)

表紙の人/ザ・クロマニヨンズ(甲本ヒロト・真島昌利)

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