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レジーねえさんは“アース・チャイルドEarth Child”――フミ斎藤のプロレス読本#142[ガールズはガールズ編エピソード12]

 レジーねえさんは、この半年で27キロのダイエットに成功した。60ポンドといったほうがもっと迫力があるかもしれない。  ジーンズのウエストのサイズは6インチも細くなった。あと10ポンド、体重を落としたら減量はおしまい。これから2カ月間はそのためだけのトレーニングを積んで、12月にロシアの柔道家と格闘技戦を闘う。  具体的な目標とかプランとかは、ないよりはあったほうがいい。でも、そればかりにほんろうされるのもよくない。  アルシオンの道場はまだ眠っていた。レジーねえさんは、みんなを起こさないように、なるべく物音を立てないようにしながら大きな荷物を2階の合宿所に運び込んだ。  2時間後にはもうバスが出発する。きょうから浜松、小倉、福岡、長崎をまわる1週間のツアーがはじまる。  これから洗たくをして、トランクづくりをすると、ちょうど「おはようございます」の時間になる。バスに乗っているうちに6時間は眠れる。  レジーねえさんの中身は“アース・チャイルドEarth Child”なんだそうだ。あんまり聞いたことのないその熟語はレジーねえさんが考えたものではなくて、ある日、クラブにやって来たジプシーの青年から授かったほめ言葉なのだという。  単数形だとアース・チャイルドで、複数形はアース・チルドレン。アース・チルドレンとは、地球と直接つながっている人。運命のとおりに生きて――でもそれにふりまわされず――生きたいように生きている人。  気がついたら、トーキョーの夜は明け、江戸川はすっかり明るくなっていた。 ※文中敬称略 ※この連載は月~金で毎日更新されます 文/斎藤文彦
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