更新日:2022年11月20日 09:45
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レジー・ベネット「サムイ島で釈迦とおしゃべりしたぞ」――フミ斎藤のプロレス読本#143[ガールズはガールズ編エピソード13]

 トーキョーと比較するとタイの物価はやっぱり安い。水代わりみたいにしてガブ飲みするコカ・コーラは、オールドファッションなくぼみのあるボトルが1本、だいたい12バーツ(約45円)。  外で食事――といっても露店のアウトドア・カフェ――をするときの予算は100パーツ(約350円)から500バーツ(約1750円)。食べたことのないものにトライすればすれほど食費は安くなる。  もうちょっと島のことをよく知ろうと思って120ccのスクーターを借りて町に出てみたら、交差点で軽トラックにぶつかって事故った。町のなかには信号というものがひとつもない。  ケガはかすり傷だけですんだけど、壊れたスクーターの修理代を弁償しなければならなくなった。手持ちのキャッシュでは払いきれない額だったので、急いでトーキョーの銀行に電話を入れ、バンコクの系列銀行に現金をトランスファーしてもらうめんどうな手つづきをした。  けっきょく、トーキョーからバンコクへの送金にはそれから1週間かかった。お金も底をついてしまったし、スクーターの修理代を払うまではどこへも行けないから、ずっとバンガローでおとなしくしていた。  海を眺めていたら、目のまえを巨大な雨雲が通過していった。よく目をこらしてみると、雲の上で釈迦Buddhaがよこになっているのがわかった。  レジーねえさんは、ちょっとだけブッダと会話を交わした。それから雨が降り、すぐにやんだ。 ※文中敬称略 ※この連載は月~金で毎日更新されます 文/斎藤文彦
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