全国紙が「東京新聞」に注目、理由はネット社会と安倍政権?
あるニュースを新聞が書いても書かなくても、ネットで「偏向報道」だと言われる昨今。そのなかで『すべての新聞は「偏って」いる』を著した荻上チキ氏は、2017年の新聞報道をどう分析するのだろうか――。
官房長官記者会見で次々と質問を繰り出す女性記者が注目されたり、論説副主幹が司会を務めるMXテレビの番組が問題になったり。’17年はグンと、東京の地方紙「東京新聞」の存在感が増した。新聞各紙は互いに言及することがあるが、全国紙5紙は東京新聞をどのくらい意識しているのか? その記事数を数えてみると、読売と日経が4件で、朝日と毎日が17件。そして、産経は51件! 2000年にはわずか5件だから、激増と言っていい。見出しも、「東京新聞の閉じた言論空間」(2月9日)、「東京新聞記者また……菅長官が苦言」(11月10日)、「朝日『死ね』ツイートに反論 東京新聞も」(11月16日)と語気も荒い。
この東京新聞の“躍進”には「2つの理由がある」と荻上氏。
「ひとつはネット社会になったからであり、もう一つは安倍政権が続いているからですよね。政権に対する批判を東京新聞中心で盛り上げていくというようなかたちで、ネット上で記事が取り上げられることが増えた。同じようにネット戦略に力を入れる産経と対立する構造になり、さらに注目を集める。東京新聞は“左の産経新聞”を目指すといいのでは」
― 今年のニュース[新聞5紙]はどう報じたのか? ―
全国紙も注目!?「東京新聞」の存在感
『すべての新聞は「偏って」いる ホンネと数字のメディア論』 「バイアスのないメディアなど存在しない」という前提に立ち、その「クセ」を詳らかにすることで、分断する社会で溢れる情報とつきあう具体的スキルを提示する一冊 |
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