モリカケ問題、共謀罪…今年の政治はどうだった? 新聞5紙から読み解いてみた
あるニュースを新聞が書いても書かなくても、ネットで「偏向報道」だと言われる昨今。そのなかで『すべての新聞は「偏って」いる』を著した荻上チキ氏は、今年の新聞報道をどう分析するのだろうか――。
…「酉年はしばしば政治の大きな転換点」と年初に語った安倍首相。予言が当たったか、モリカケ問題を中心に政治の話題は目白押し
報道が過熱し、こじれたのが加計学園獣医学部新設問題だ。告発した文科相事務次官について、読売が5月22日の朝刊社会面で「前川前次官 出会い系バー通い 文科省在職中、平日夜」と報道。絶妙なタイミングでプライベートな情報が出たことに、官邸からのリークではないかという疑義が上がった。
朝日は特集記事を組み、毎日は専門編集委員の寄稿で読売の姿勢を批判。産経は「不毛な泥仕合は見苦しい」と題した社説(5月27日)で、国会招致を求める野党、前川氏を攻撃する政府側、前川氏の三方に苦言を呈していた。
結局、11月14日には加計学園に獣医学部設置の正式認可が下りる。
が、その3日前に掲載された朝日の社説に対し、日本維新の会の足立康史議員が自身のツイッターで「朝日新聞、死ね」と投稿するというさらなる場外乱闘が勃発。
当然、朝日は「政治家の言論 その荒廃ぶりを憂える」と社説(11月18日)で反論。すると、それに即座に産経が反応し、「『死ね』を憂える荒廃した社説」というタイトルのコラムを掲載。昨年の流行語大賞「保育園落ちた日本死ね!」を引き合いに出し、「これを称賛したのはどこの新聞社だったか」と揶揄した。やはり、「一般市民の投稿であっても『日本死ね』の文言は許容できない」(11月17日社説)よう。
ちなみに、この足立議員の「朝日新聞、死ね」ツイートについて、読売と日経はノータッチだった。
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『すべての新聞は「偏って」いる ホンネと数字のメディア論』 「バイアスのないメディアなど存在しない」という前提に立ち、その「クセ」を詳らかにすることで、分断する社会で溢れる情報とつきあう具体的スキルを提示する一冊 |
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