3大駅弁大会の開催店舗がガチ勝負! 新作「牛肉駅弁」の出来ばえは?
―[53回駅弁大会実食リポート]―
1月の風物詩「第53回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」が10日、東京・新宿の京王百貨店で始まった。全国44の都道府県(今年は徳島、山口、沖縄を除く)と海外は台湾から300以上の駅弁が集まる全国最大の駅弁大会だ。
1966年(昭和41年)から続くこの大会はいまや売り上げが6億円超、フードフェスブームの先鞭をつけたモンスターイベント。いまや“駅弁の甲子園”と呼ばれ、マスコミにも多く登場し、全国にその名を轟かせている。
53回目の今回も、新作弁当がお披露目となる“対決モノ”が用意されている。目玉は東京、大阪、そして熊本の百貨店で行われている駅弁大会を記念し、開催している3店舗がそれぞれオリジナルの駅弁を作り、競うというものだ。
その他ウニをふんだんに使った弁当の「ウニ対決」、焼いた海鮮しばりの「焼き対決」など、折込チラシを見ているだけで垂涎のイベントとなっている。
また、限定パッケージの駅弁、復活&リニューアルした駅弁、昔からの定番人気駅弁。お客さんの目の前で調理される実演販売、全国各地から直送される「輸送駅弁」コーナーなどがある。また駅弁以外にも全国のうまいものが販売されていたりと、毎日通っても飽きないほどだ。
記者も毎年この駅弁大会に馳せ参じており、今年も開店1時間前には行列に並び、注目の駅弁をゲットした。今回のメイン企画である「人気駅弁大会3店舗合同企画 新作牛肉駅弁対決」で実演販売されている3駅弁を大人買い。早速試食した。
今回、対決駅弁の題材として選ばれたのは「牛肉」。しかも調理方法も厚切り焼き肉と、すきやき風の薄切り肉をそれぞれ入れるという徹底ぶり。例年対決モノでは懸念されていた値段のばらつきも、今年は「1500円」と合わせてきており、プライドを賭けた「ガチ対決」の様相を感じる。
トップバッターは、大阪・阪神百貨店。2001年から、提携の京王百貨店のノウハウを得て始めたと言われる駅弁大会は今年で18回目。毎年1月後半に1週間の会期で約300の駅弁を集めて開催されている。その阪神百貨店が監修し製作したのが「酒乃蔵 牛肉弁当」(兵庫県 東海道本線 神戸駅/1500円)。神戸・灘の酒蔵「福寿」の酒粕を使った肉弁当だ。
酒粕をイメージした洒落た容器に、酒粕と味噌が香るすき焼きと、厚切りの牛肉ステーキが載った逸品。ステーキには特製のわさび漬けを乗せて食べるという趣向。胡椒の利いたジュレ状のたれをたたえたステーキはそのまま食べても充分旨いが、わさび漬けを載せて食べると格別。ツンと鼻に抜けるわさびの香りがステーキの味をより引き立てる。
続いてすき焼き。甘だれからしっかり香る酒粕の風味。酒粕が加わることによって、たれのコクが重厚に感じられる。下に敷かれた醤油で味付けられた飯がガンガン進む味だ。付け合せの煮玉子にもしっかりとタレの味が染みており、大満足。同じブースで売られていた日本酒「福寿」と合わせれば、豪華な“飲み駅弁”として立ち上がってくることうけあいだ。記者は日本酒とともに味わう駅弁としておすすめしたい。
お次は、熊本の老舗・鶴屋百貨店。同店の駅弁大会は京王百貨店より1年早い、1965年から開催されている駅弁大会。2月の初旬から約2週間、100種類を超える駅弁が販売される由緒ある大会だ。
その老舗百貨店が監修したのは「熊本あか牛と鹿児島黒毛和牛の牛肉めし」(鹿児島県 九州新幹線 出水駅/1500円)。熊本の百貨店監修だが、調整元は鹿児島の老舗。おそらく九州新幹線沿線での販売をイメージしたものだろう。
黒と赤の勇ましい掛け紙を外すと、艷やかに光る厚切り肉が目に飛び込んでくる。「同封のわさびと特製醤油ダレ、2つの味で食べてみてください!」と購入時お店の方が仰っていたことを思い出す。早速、わさびを肉にチョン! そのまま口に運ぶ。わさびと炭火の香りが口いっぱいに広がり、肉を噛めば柔らかでジューシー。冷めた弁当なのに、ここまで肉の旨さを感じるものかと驚く。2切れ目は、特製醤油で。甘めの醤油ダレが炭火焼きによく合う。たっぷり浸してごはんに巻いて食すもまた良し。
下に目をやると、濃厚な香りをたたえた黒毛和牛のすき焼き。鹿児島県産の醤油と鹿児島地酒「高砂の峰」を合わせた甘めのタレに噛みごたえのある厚さの和牛。脂の甘みをしっかりと感じる。一緒に煮込まれたごぼうがいいアクセントとなっている。付け合せの辛子高菜といっしょに食べても実に旨い。濃い目の味はビールと合わせたい。後半は赤ワインでも良いか。黒毛和牛とあか牛が入って1500円は、コストパフォーマンス的にも素晴らしいのではないだろうか。
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【第53回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会】
1月10日(水)~23(火)
京王百貨店新宿店7階大催場
午前10時~午後8時 ※17(水)は午後5時、23(火)は午後6時閉場
https://www.keionet.com/info/shinjuku/ekiben2018/index.html
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