金メダル弁も!2020&令和最初の駅弁大会は「カニづくし」でスタート
1月の風物詩「第55回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」が8日、東京・新宿の京王百貨店で始まった。全国43の都道府県(今年は埼玉、徳島、山口、沖縄を除く)から約300の駅弁が集まる全国最大の駅弁大会だ。
1966年(昭和41年)から半世紀以上続くこの大会はいまや売り上げが6億円超、いまや30万食を販売する、フードフェスブームの先鞭をつけたモンスターイベントだ。いまや“駅弁の甲子園”と呼ばれ、全国にその名を轟かせており、この駅弁大会にあわせて各地の調整元が新作をお披露目する「ハレの場」となっている。
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55回目の今回も、“対決モノ”が用意されている。今回の目玉は「5種のカニ駅弁対決!」と題し、新作のカニ駅弁から老舗のかにめしまで、「今夏のスポーツ大会にちなみ」(パンフレットより抜粋)5種類がラインナップ。5種のカニ駅弁を集めた大会は第41回大会(2006年)以来で、当時はエントリーした5種すべてが実演売り上げ販売個数「ベスト10」に入ったといういわば”鉄板対決”だ。
その他毎年大人気の牛肉弁当での「新作牛肉対決!」、”金メダル”を彷彿させる「黄金の駅弁対決!」など、店内で配布されている折込チラシ(公式サイトでDL可能)を見るだけで垂涎のイベントとなっている。
また、前回の五輪そして、京王百貨店新宿店が開店した1964年の販売当時の味と掛け紙を再現した「復刻駅弁」コーナー、毎年大人気の、懐かしの特急列車のヘッドマークをあしらった駅弁特集などがあり、最古参かつ最大の駅弁大会のプライドを感じさせる。
さらに、お客さんの目の前で調理される「実演販売」、全国各地から直送される「輸送駅弁」コーナー、また駅弁以外にも全国のうまいものが販売されていたりと、毎日通っても飽きないほどだ。
記者も毎年この駅弁大会に馳せ参じており、今年も開店1時間前には行列に並び、注目の駅弁をゲット。今回のメイン企画である「カニ駅弁対決!」で実演販売されている3駅弁を大人買い。早速試食した。
最大の行列ができていたのが「釧祥館ちらし」(北海道 根室本線 釧路駅/1680円)。調整元の「釧祥館」は大正6年(1917)に創業、釧路駅内で駅弁の立売を開始した老舗中の老舗。本大会でも毎年「花咲かにめし」(1100円)など数種類の「かに駅弁」出品している。
そのレジェンド調整元が新作として勝負に来たのが「釧祥館ちらし」。すし飯の上に、食べごたえのあるたらば蟹と、濃厚な旨味の花咲蟹を贅沢に載せた。食感はそれぞれだが、「これぞカニ!」と快哉を叫びたくなるほどの甘み。ずわいのほぐし身には大胆にもいくらをトッピング。「こぼれいくら!サーモンちらし」も同調製元が販売していることからか、中年男性がひるむくらい、いくらがたっぷりだ!
昭和25年(1950)に考案された「かなやのかにめし」(北海道 函館本線 長万部駅/1180円)。調整元は昭和3年(1928)創業の老舗「かにめし本舗かなや」。残念ながら昨年2月いっぱいで車内での販売を終えてしまったが、札幌のデパートやドライブインなどで販売が継続されている「北海道の名駅弁」だ。
カニ爪や甲羅などがどーんと乗っている「海鮮弁当」が主流のなか、ほぐして炒めたカニの身とたけのこを敷き詰め、しいたけを乗せた質実剛健な一品。時間をかけて炒めたカニは旨味が凝縮、箸を入れるとふわっと香ばしい香りが鼻腔をくすぐる。
しいたけの甘さもいい。ど真ん中のカリカリ梅の赤、錦糸卵の黄色、グリーンピースの緑も見目麗しい。わかめやひじき、小女子が入った特製つくだ煮はこれだけで酒のアテになるほど。今では珍しくなった、木の器の香りもいい。極め付きは付け合せのミカンの缶詰。懐かしさで胸をいっぱいにしながら完食した。
たらば・ずわい・花咲の三種にいくらも!
昭和の薫り・長万部の「かにめし」
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【第55回 元祖有名駅弁と全国うまいもの大会】
1月8日(水)~21(火)
京王百貨店新宿店7階大催場
午前10時~午後8時 ※14(火)は午後5時、21(火)は午後6時閉場
https://www.keionet.com/info/shinjuku/ekiben2020/
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