更新日:2022年12月10日 18:33
ライフ

収入は3年間で2万円、茨城限定の有名ブロガー「勝手につくば大使」の過酷すぎる生活に密着

「俺、友達がいないんです」

 その努力が実を結んで小村氏は現在、地元の雑誌・新聞などから取材を受け、ラジオにも出演している。つくばの街を歩けば「大使の方ですよね?」と市民に声をかけられる。  Google検索で「つくば 大使」と調べれば、本家の観光大使を差し置いて検索上位はほぼ小村氏の独占状態。全国的にはまったくと言っていいほど無名であるが、茨城県つくば市という小さなフィールド内では驚異的な知名度を誇るのだ。 勝手につくば大使 取材先や町の人とは深いつながりがあるように見える小村氏。コミュニケーション能力でここまできたといっても過言ではない。しかし底なしに明るい顔をしている小村氏にも悩みはある。 「俺、友達いないんですよ。気軽に飲みにいける友達がマジでいない。取材でもプライベートでも初対面は頑張って色々話せるんです。それで形だけは仲良くなる。でも2回目会ったときに何を話せばいいか分からない。結果、微妙な空気になり、次第に疎遠になっていくんです。ちょっと仲良くなった人とかに、『今度飲み行こうよ!』ってよく言われるじゃないですか。はいはい、どうせ誘わないでしょ、来ないでしょって心の中で思ってしまうんです」  顔に似合わないデリケートな悩みに、記者は妙に親近感を覚えてしまった。やはり人間は少しダメな部分があってこそ、魅力が生まれる。 「あとカネもないんですよ。今の収入は深夜の居酒屋でのアルバイト代のみ。それも全部取材費で消えていきます。大使で稼いだお金は3年間でブログアフィリエイトの2万円だけです」
勝手につくば大使

大使の自室

 あくまでブログは宣伝のためということではあるが、500記事書いて2万円では同情するしかない。しかし小村氏は、「もうやらきゃいけないことは分かっているんです。あとはそれをこなしていくだけ。いつか大使だけで飯が食えると信じています」と話す。  イメージとしてはブロガーというよりも、ふなっしーのような存在だろうか。小村氏は今年からYouTubeにも参戦する予定だ。
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元週刊誌記者、現在フリーライター。日々街を徘徊しながら取材をしている。著書に『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)。Twitter:@onkunion

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