段ボール製キット『Nintendo Labo』は任天堂の新たな鉱脈となるか?
この『Nintendo Labo』は、“ゲームの常識”を変える一歩になるかもしれません。これまでのテレビゲームは、モニターのなかに作られた仮想世界に私たちをいかに引き込むかという方向性を軸に進化を遂げてきました。その最先端がVRと言えるでしょう。
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も
しかし、『Nintendo Labo』はその逆で、日常にあるアナログ的な遊びにどうすればコンピュータが自然に溶け込めるかを意識しているように感じます。“ゲーム”に遊ばされるのではなく、“ゲーム”を使って自由に遊ぶ。遊びの原点を思い起こさせます。
少しコンセプトから外れるかもしれませんが、たとえば「センサーのかたまりであるJoy-Conをアナログのおもちゃに活用する」というくくりで考えれば、プラモデルと組み合わせたり、amiiboのようなフィギュアを利用したり、車や鉄道のおもちゃとマッチングさせたり……と秘めた可能性は大きいと言えます。ライセンス次第ですが、玩具会社からJoy-Conを組み込む形でのコラボおもちゃが発売される、といった未来も想像できます。
さらにもうひとつ、『Nintendo Labo』では「Toy-Conガレージ」というモードで簡単な遊びのプログラミングも可能です。たとえば「画面をタッチしたら→Joy-Conが振動する」「Joy-Conを10回振ったら→爆発音が鳴る」「Joy-Conが裏向きになったら→画面が光る」といった具合に、入力と出力の条件を簡単に設定できるのです。
アラフォー・アラフィフ世代はMSXでBASICを打ち込んだという人も多いと思いますが、今やゲームが複雑になりすぎて、作る人と遊ぶ人が完全に分かれてしまった状況で、基礎的ではあるもののゲームを作る楽しさが体感できる貴重な機会になるのではないでしょうか。プログラミング教育との兼ね合いで、教材としての側面に光が当たる場面もありそうです。
『Nintendo Labo』は「01」「02」とナンバリングされています。「03」以降はどういった切り口のキットが登場するのか、早くも楽しみです。携帯機と据置機の壁を取り払ったNintendo Switchが、『Nintendo Labo』によってアナログとデジタルの垣根をも越えようとしていると言えそうです。1
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