給料も外注代も払わず、BMWでキャバ通い…最悪の経営者がホントにいた
今年の成人式に突然閉店して社長が雲隠れした着物レンタル業「はれのひ」や、破綻寸前なのにツアー客を募っていた旅行代理店「てるみくらぶ」。こんな会社で働いていた社員は、どんな気持ちだったのだろう?
有元美香さん(仮名・43歳)が以前働いていた結婚相談所も、ほぼ違法なことだらけだったという。28歳でその結婚相談所に入社した有元さんは、前代未聞の最悪経営者に振り回されたと話す。
「私が以前勤めていた相談所の経営者ですが、経営が苦しくて、サロン引越し代金も未払いで、督促がきても、無視していました。
さらにお客様から預かった入会金ですが、入会をキャンセルしても返金しなかったため、お客様から内容証明書が届きました。それでも無視を続けていたんです。お金が工面できないことが原因だからといって、あまりにもひどかったです」
有元さんは、短大を卒業してOLになったが、人間関係が原因でうつ病に。都内近郊の実家に戻って治療をしていたが、両親から「養えないから働くように」と言われた。そこでハローワークで紹介された地元の結婚相談所のスタッフとして働くようになると、めきめきと才能が現れたため、所長から都内の結婚相談所を紹介されたのだという。
「能力を見込まれたのも嬉しかったし、紹介された社長はとても良心的で、いい人だったので、一生懸命に働きました。ところが社長がいい人過ぎて、商売に向いていなかったため、出資してくれた40代のベンチャー経営者が、結婚相談所を買収したんです。まったく別業種のベンチャーでしたが、その経営者がとんでもないヤツだったんです」
結婚相談所を買収したベンチャー経営者は、小太りで物腰が柔らかく、10人中9人までに「優しい」という印象を持たれるタイプ。「いわゆる表裏のある人で、社員以外の外部の人は騙されっぱなしでした」。
まず、社員の給料の未払いはザラ。ブチ切れた社員が「辞める」というと、退職金はおろか、これまで働いた給料まで未払いにされたという。これはもちろん労働基準法違反だ。
「印象的だったのは、ある社員に難癖(なんくせ)をつけて、一度支払った給料を返金させようとしたことです。
また、お客様のお見合い写真を撮影するときのこと、経営者がお金を持っていないため、ある社員が業者に衣装代5万円をその場で肩代わりをしたのです。ところが返金を求めても、経営者は頑として払わない。その言い訳が『僕はその衣装を着ていないから』と。『君が払ったんだから、君がその衣装を着ればいい』だって。
キレた社員が辞表を提出し、その後も督促状を送り続けましたが、未払いのまま。その言い訳も『あいつはとっくに会社辞めているし、衣装代を払ってから1年も過ぎているから』と。周囲はみんな青ざめました」
騒ぎをおさめようと、経営者は「税理士に相談した結果だから」と説明したが、「そんなことありえない」と社員らはいっせいに反発。そりゃ当たり前だ。
「ブチ切れて退職した社員が、労働基準局に契約書をもっていったところ、『こんな雇用契約書はありない、論外』と言われたそうです」
給料未払い、お客との金銭トラブル…最悪の経営者がいた
立て替え経費をいくら請求しても無視
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