「かぼちゃの馬車」破綻でも、自己破産をためらう年収1000万円のオーナーたち
―[不動産バブル崩壊の予感]―
シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営していたスマートデイズの破綻で明らかになったのは、スルガ銀行による杜撰な貸し付け実態だった。だが、この一件が今、思わぬ形で不動産業界に大きな余波を与えている。事件発覚により、スルガ銀行からの貸し付けが停止したことで活況だった不動産市場に暗い影が落ちようとしている。今、不動産業界で何が起きているのだろうか。
約800棟もの女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営していたスマートデイズ(’12年8月設立。以下、SD社)が、今年5月15日に東京地裁より破産手続きの開始決定を受けた。この一連の破綻劇を目にして顔面蒼白になっているのは、多額のローンを組んでシェアハウスを建設し、所有しているオーナーたちだ。
彼らの多くは、昨今の超低金利下では異例の4%超でローンを組んでおり、仮に1億円の借り入れの場合、毎月の支払いは50万円超となる。ある信用金庫幹部はこう説明する。
「まず不動産投資セミナーなどで、年収1000万円前後の比較的高収入のサラリーマンなどに30年間にわたって高額の家賃を支払い続けると謳い、土地と建物を購入させるんです。ところが、支払われる家賃の原資は新規物件の売り上げ。つまり、Xさんに払う家賃を、Yさんに売ったシェアハウスの代金で賄っていたわけで、典型的な自転車操業です」
かくしてSD社の物件は、SD社の儲けとほかのオーナーへ支払う家賃が上乗せされ、原価のほぼ倍で販売されていた。オーナーは実勢価格をはるかに超えたローンを組むことになり、たとえ物件を売却して手仕舞いしようとしても数千万円の借金が残る。彼らは進むも退くも地獄なのである。
土地や物件が値上がりしていくカラクリ
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