乾貴士はW杯勝利のキーマン。代表落ちの危機を乗りこえた自信とは
乾貴士が遂にサッカー日本代表のメインキャストに上り詰めた――。
乾は現在30歳。初の本大会出場のため普段サッカーを観ない層からは若手と思われがちだが、学年的には本田圭佑、長友佑都らの2つ下、香川真司の1つ上で、ベテランと呼べる選手の1人である。
早くからその才能を高く評価されていたが、実力者が揃う中盤の序列を覆すことができず、A代表にはなかなか定着できずにいた。ドイツ1部フランクフルトで主力として活躍してはいたものの、乾の本来のポテンシャルを考えれば、当時は「あと一歩伸び悩んでしまった選手」という印象すらあった。
そんなか迎えた2015年夏、乾に転機が訪れた。念願だったスペインリーグへの移籍が実現したのだ。
当時1部昇格2年目だったSDエイバルで遂に覚醒。敵地カンプ・ノウでバルセロナから2ゴールを奪うなど幾度となく鮮烈な活躍を見せ、昨年6月に行われたキリンチャレンジカップの対シリア戦で、2年2か月振りの代表復帰を果たした。
上り調子の乾はその後8月に行われたアジア最終予選の大一番、ホームでのオーストラリア戦にもスタメン出場し、スペインで磨いたディフェンス力をいかんなく発揮。中盤左サイドで相手の選択肢を限定するプレスを繰り返し、2-0での勝利と本大会出場権獲得に大きく貢献した。
「リーガで普段から強い相手と対戦しているので、代表でもやれる自信はありました。また招集してもらえるように、引き続きクラブでも頑張っていきたいです」
ハリルホジッチ前監督のオーダーに見事に応え、代表定着に向け乾自身も手応えを感じていたはずだ。念願だった初のW杯本大会のメンバー入りも一気に現実味を帯びてきたかに見えた。だが、そんな上昇気流のなかで、よもやの事態が発生した。3月にベルギーで行われたマリ、ウクライナとのテストマッチに招集されなかったのだ。
不可解な代表落選やリーグ終盤での怪我。それでもサッカー小僧・乾は諦めなかった
本大会まで残り3か月。代表選考に向け非常に重要な意味を持つ2試合は、当落線上にいる選手たちにとって最後のアピールの場だった。だが、乾はその試験を受けることさえ許されなかったのだ。前述した大一番で勝利に貢献したにも関わらず、だ。
クラブで調子を落としていたのかというと、まったくそんなことはなく、それどころか17-18シーズンはキャリア最高とも言える充実したシーズンを送っていた。ほぼすべての公式戦に出場し、対戦相手の監督や選手からも「エイバルで最も注意すべきは乾」と名指しで警戒されるほど、堂々たる存在感を見せていたのだ。
ハリルホジッチ前監督は「選考においてはクラブで試合に出られているかを重視し、所属するリーグのレベルも考慮する」と度々発言してきた。それにも関わらず、日本代表の中で最もレベルの高いリーグで最も結果を残していた選手を外したのだ。
ポルトガルリーグで絶好調だった中島翔哉を試すためだったのかもしれないが、それにしたって代わりに外すべき選手は他にいたはずだ。第三者から見ても明らかに不可解な選考なのだから、乾本人としては相当な失望があってもおかしくなかった。
ロシアW杯開幕前最後のテストマッチとなったパラグアイ戦で2ゴールの活躍を見せスタメンの座をつかむと、グループリーグ初戦のコロンビア戦では90分間攻守に渡り奮闘。シュートミスこそあったもののクオリティの高さを見せ、続くセネガル戦では1ゴール1アシストの活躍で勝点獲得に大きく貢献した。日本代表で遂に確固たるポジションをつかみ取ったのだ。
あと一歩伸び悩んだ乾を変えたスペインリーグ移籍
代表復帰で活躍。定着に手応えを感じるも不可解な代表落選を経験
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フリーライターとして雑誌、Webメディアに寄稿。サッカー、フットサル、芸能を中心に執筆する傍ら、MC業もこなす。2020年からABEMA Fリーグ中継(フットサル)の実況も務め、毎シーズン50試合以上を担当。2022年からはJ3·SC相模原のスタジアムMCも務めている。自身もフットサルの現役競技者で、東京都フットサルリーグ1部DREAM futsal parkでゴレイロとしてプレー(@yu_fukuda1129)
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