ライフ

アメリカンウイスキー=バーボン、スコッチ=シングルモルトの誤解。嫌味にならないウイスキー雑学

世界一のウイスキー消費国はどこ?

 原料と地域の切り口、把握できましたでしょうか。よくある誤解として、アメリカンウイスキー=バーボンとか、スコッチ=シングルモルトウイスキーと思い込んでしまうことがあります。スコッチでも、ブレンデッドウイスキーはもちろん、グレーンウイスキーもあるのです。アメリカにもシングルモルトウイスキーはあります。ただし、アメリカでは、シングルモルトといってもきちんとした定義がないので、単一蒸留所でない可能性があることは覚えておいてください。  ちなみに、5大ウイスキーの国だけでなく、世界中でウイスキーは造られています。秀逸なシングルモルトウイスキーも珍しくなく、筆者は機会があればインドの「アムラット」や台湾の「カヴァラン」などを買い集めています。ワインのメッカであるフランスにもたくさんのウイスキー蒸留所があり、「バスティーユ」がオススメです。最近はタスマニアが熱いですね。

台湾の秀逸なシングルモルトウイスキー「カヴァラン」蒸留所。樽を縦に置いているのが珍しい

 世界で一番ウイスキーを消費しているのはインドです。日本にはほぼ流通していませんが、安価なウイスキーブランドが多数存在し、人気を集めています。ちなみに、ウイスキーブランドの出荷本数でも、トップ3はすべてインドのウイスキーです。世界で飲まれている蒸留酒の出荷本数ランキングでも、インドのウイスキー「Officer’s Choice」が2位になっているほど。ちなみに、1位はJINROです。ウイスキーの第4位はスコッチウイスキーの「ジョニーウォーカー」、第5位はアメリカンウイスキーの「ジャックダニエル」となります。  さて、国内のウイスキーラバーが活用しているスマホアプリ「HIDEOUT CLUB(ハイドアウトクラブ)」は、2017年にユーザーが最も飲んだウイスキーのランキングを発表しました。1位は「ボウモア」、2位は「ラフロイグ」、3位は「アードベッグ」という結果でした。全部、スコッチのシングルモルトウイスキーで、さらにすべてアイラ島という島にある蒸留所の製品です。どれも、スモーキーフレーバーが特徴で、最高に美味しいウイスキーです。ちなみに、日本勢は5位に「ブラックニッカ」、7位に「イチローズモルト」、10位に「山崎」がランクインしています。

飲んだウイスキーを記録できるアプリ「HIDEOUT CLUB」

 現在、世界的にウイスキーの人気が高まっています。新興の蒸留所も登場してきているのですが、供給不足により価格は高騰しています。以前からある銘柄も毎年のように値上がっており、古いレアモルトになるととんでもない値段がついています。オークションで1本3000万円とか、複数本のセットで6000万円とかで落札されることがありますが、そこまでいくともう投機対象なので、ウイスキーラバーとは関係ない世界ですね。  とはいえ、発売当時はまだ手が届く値段で売られていました。ニュースに出てくるお酒を見て、昔飲んだ記憶が思い出されることもあります。と言うことは、今飲めるウイスキーも将来はとんでもないレアものになる可能性があるのです。もちろん、酒好きであれば買って物置に置いておくのではなく、最高のタイミングでBARカウンターで飲み、その幸せな時間を記憶に刻みつけてください。 

今年香港のオークションで3250万円で落札された「山崎50年」ですが、2012年ごろであれば1桁万円で飲めました

<文/柳谷智宣>
お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる
1
2
おすすめ記事