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「大人の発達障害者」のための職業訓練所。どんなことが行われている?

Neccoカフェ

Neccoカフェ

当事者が本音を話せるコミュニティが必要

 また、近年では、発達障害の当事者同士が集まるコミュニティも多くできている。新宿区の「Neccoカフェ」はそのはしりとも言える存在で「日本初の当事者による当事者のための常設の居場所」として’11年にオープンした。代表の金子磨矢子さんは「皆さん、口コミやネットで調べたり、役所から紹介されてこのお店に来ます」と話す。  お客のなかには長年通う常連も多い一方で、新規客同士打ち解ける姿も見かけるという。 「自然と隣のお客さん同士で話していたり、それこそ『発達障害あるある』みたいな話で盛り上がってるみたいですね。発達障害の人は意思疎通が苦手といわれますが、お互いに『理解してくれる』という信頼感がある空間なら、気を使わずに話すことができるんです」  このカフェでは毎月さまざまなイベントを開くが、一番人気はグレーゾーンの人限定の会だという。 「毎月2回やっていますが、毎回すぐに予約が埋まります。きちんと診断されないなかで、『会社にバレないか』と不安になりながら必死にしがみついている人もいる。そんな人の行き場所がないんです」  一方、大阪・心斎橋には発達障害アートギャラリーカフェ・バー「金輝」がある。橋際 義(はしぎわつとむ)店長も当事者の一人。職業訓練に通っていた26歳の時に発達障害と診断され、その後、一度は就職するも上司とのコミュニケーションがうまくとれず、ネットなどを通じて知り合った当事者たちとファミレスでオフ会を始めるようになり、1年半前からこのバーに移ってきたという。
発達障害カフェ・バー店主の橋際義さん

発達障害カフェ バー・店主の橋際義さん

「お客も店員もほぼ当事者なので、お互いが相談し合ったり気楽にいられる場所を意識してやっていますね」  橋際さんは「軽度重度にかかわらず、2000万人くらいは実社会に発達障害の人がいるでしょう」と、実感値を話す。 「就労支援では発達障害と履歴書に書きますが、一般企業ではわざわざ記載はしない。だから上司もわからないし、問題が起きた時にカミングアウトするケースがほとんどだと思う。今はやっと発達障害が認知されたという感じ。今まで知らない人が多かったけど、浮き彫りになっただけですよね」  当事者同士が理解し合う場所の必要性は、より高まっている。 【大人の発達障害当事者のためのピアサポート「Neccoカフェ」】 住:新宿区西早稲田2-18-21 羽柴ビル202 営:12~18時 休:月曜 日本初のピアサポート(同じような立場の人がサポートすること)施設。店内には発達障害に関する本も多数。HP(https://neccocafe.com) 【発達障害アートカフェ・バー「金輝-KINKI-」】 住:大阪市中央区15東心斎橋1-15-1 ふあみ~ゆ東心斎橋V 4階 営:15~22時(平日)、13~22時(土日・祝) 休:火曜 当事者や発達障害のある人と交流をしながらアドバイスができる環境がコンセプト ― 大人の発達障害 ―
―[大人の発達障害]―
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