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甲子園の伝説・桑田真澄氏が語る。勉強できないほど猛練習させるのは大人の身勝手

大谷、ダルビッシュ…なぜ肩やヒジを壊すのか

<科学的な根拠を取り入れた分析は日本よりもアメリカの方が進んでいると思うが、実際に大リーグに目を向けると、大谷投手、田中投手、ダルビッシュ投手が皆、肩やヒジを壊している。その理由を訊いてみた。> 桑田:自分の選手経験を踏まえると、一番の原因は小さい頃からの投げ過ぎだと思います。もちろんアメリカ人やラテン系の選手も故障しますから、それだけが理由ではないでしょうが、日本人投手はアマチュア時代の登板過多がなければもっと活躍できると思います。 指導者講習にて――昔と比べて、子供の体つきは変わってきたんですか 桑田:確実に変わってきていますね。やはり身長も高くなってきてますし、体格も進化しています。その分、身体にかかる負荷も増しているはずです。 <日本人離れした体格で打者に投手にと、二刀流としてアメリカで戦っているのが、エンゼルスの大谷翔平選手だ。実は現役時代の桑田さんもバッティングの良さには定評があり、通算打率.216は、1951年以降にプロ入りし、通算500打数以上を記録した投手の中では歴代最高記録だ。> ――桑田さんは二刀流の元祖って言われてるんですよね。 桑田:僕は投手でしたがピッチングだけでなく、バッティング、走塁、守備も含めて総合力で勝負する選手になりたいと思っていました。 ――当時、本格的な二刀流は目指そうとは思わなかったんですか? 桑田:実は、僕は一番得意なのが守備、二番目がバッティング、ピッチングが最も苦手だったんです。もし投手として成績を残せなかったら、打者に転向していたと思います。 ――今後日本から「第二の大谷」は出てきそうでしょうか? 桑田:アマチュア選手はみんなそうなりたいと思っているんじゃないですか。でもプロ野球選手として一流を目指すのなら、どちらかに専念すべきだと思います。同時に両方やると疲労が抜けずに故障のリスクが高くなると思います。  それでも二刀流を目指すのであれば20年のスパンで考えて、最初の10年はピッチャーで200勝、次の10年は野手として2,000本安打を目標にする。とてつもなく高いハードルではありますが。

大半はプロになれないのに、なぜスポーツをするのか

<野球以外のスポーツ界でもコーチや監督からのパワハラ、セクハラ問題が後を絶たない。暴力的に、威圧的に指導をしていくのは、負の連鎖ともいえる。殴られて教えられた人は、今度は自分が指導者側にたつと、殴って教えるし、ほめられて成長してきた人は、ほめながら教える。もはや今の社会ではその連鎖を断ち切ることが困難なのだろう。> 桑田さん著書桑田:体罰が原因の痛ましい事件が起きて以降、体罰を良くないと考える指導者は確実に増えていると思います。ただ、形を変えて選手に対する制裁は残っているとも聞きます。例えばその選手を試合で使わないとか。  繰り返しになりますが、コーチにはスポーツマンシップの面で選手のロールモデルになってほしい。  いまの時代に合わせたコーチングとしては、チーム全員に様々な役割を与えたり、レギュラーのみならずBチームやCチームの試合を組んで全員にゲーム経験を積ませるチームも出てきたと聞いています。チームの特徴に合わせて、そんな取り組みが増えたらよいと思います。 ――全員で協力するチームスポーツっていうのは、すごく大事ですよね。 桑田:僕は野球というスポーツの素晴らしさは、チームワークにあると思っています。野球も人生も1人じゃ何もできません。チームメイトと主体的にコミュニケーションを取り、チームみんなで共通の目標に挑戦する大切さを学べたら、若い選手の人生において野球は大きな価値を持つと思います。 ――お話して下さったことは野球界だけではなく様々なジャンルにも当てはまるような気がします。 桑田:今までの人生を振り返ると、僕は野球をするために生まれてきたと思います。そして、死ぬまで野球に尽くしていきたいと思っています。僕の考えが、野球以外の分野でも参考になるのであれば幸いです。 ――桑田真澄が考える、スポーツ指導の未来(第3回)―― <取材・文/ジャーナリスト・草薙厚子>
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