なぜアバが再結成?解散35年、実は売れ続けていたABBAビジネスの舞台裏
4月28日、伝説的ポップグループ「ABBA(アバ)」が再結成と35年ぶりの新曲制作を発表し、世界が騒然となった。40~50代にとっては懐かしいアバ。でもなぜ今、再結成?
「メンバーの名前は知らないけれど、ダンシング・クイーンなら知ってる」
これが音楽ファンのアバに対する印象だろう。全世界で3億7千万枚を売り上げ、82年に活動休止した北欧スウェーデン出身の4人組の人気ポップ・グループ、アバ。70年代後半から80年代初頭に数多くのヒット曲を生み出し、日本でも大ブームを巻き起こした。
メンバーは現在は離婚してしまったが、元々は2組のカップルだった。グループ名は、アグネッタ(A)、ビョルン(B)、そしてベニー(B)、フリーダ(本名のアンニフリッドのA)の4人の頭文字をとって「ABBA」と名付けられた。発表された作品は現在でも世代を超えて愛され続けている。
そのアバが35年ぶりに4人でスタジオ入りし、すでに2曲の新曲を完成させたというニュースが世界を駆け巡った。その曲のタイトルは「I Still Have Faith in You」と「Don’t Shut me down」。12月に放送されるアメリカNBCとイギリスBBCの共同制作によるテレビ番組内で披露される予定だという。
これまでアバの再結成に関しては、何度も噂されては立ち消えになっていた。様々なオファーはあったが、メンバーは「再結成に向けての動機がない」という理由で常に拒否していたのだ。
実は今回の再結成では、実在のメンバーは登場しない。パフォーマンスをするのは“アバター”つまり“デジタル・アバ”なのだ。
アバのビジネス関係者と親交が深い音楽プロデューサーの大越王夫氏に今回の再結成レコーディングについて訊いてみた。
「今回の再結成レコーディングの目的は、2019年にスタートするAIとVRを駆使したヴァーチャル再結成ツアーのためです。このプロジェクトにはメンバー4人全員が協力して作り上げています。文字通り『アバター』での再結成で、テーマは『1979年のアバ』と言われています。楽曲そのものが、時代に寄り添って形を変えながら生き続けている稀なケースではないでしょうか」
新曲に関してメンバー4人は「私たちは年をとってきたかもしれませんが、その曲は新しくいい感じですよ」と公式コメントで述べている。いったいどんな曲調になるのか、待ちわびているファンは早くも想像を巡らせている。
グループのマネージャーのヨレル・ハンサー氏は、曲について、「アバ全盛期と同じだった。素晴らしい化学反応が起こり、まるで時間が止まっているかのように感じた」とインタビューで述べている。
1982年にグループとしては活動停止したものの、アバの曲はオリジナルであったり、カバーであったり形を変えながら、今日まで世界中の至るところで聴かれ続けている。
日本でも2001年に滝沢秀明、深田恭子らが出演したTBS系ドラマ「ストロベリー・オン・ザ・ショートケーキ」の主題歌として「チキチータ」「S.O.S」の2曲が使用された。それに伴い日本編集のベストアルバムがリリースされたのだが、50万枚を超える大ヒットになっている。
そこで時代を超えて生き続ける活動停止後のアバの曲の「進化の歴史」を追ってみる。
昨年、現地スウェーデンで関係者を取材したジャーナリストの草薙厚子さんによると、実は、アバ・ビジネスは解散後も成功し続けてきたのだという(以下、草薙さんの寄稿)。
2019年に、“デジタル・アバ”がヴァーチャル再結成ツアー
1982年の活動停止後も売れ続けていたアバ
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