レースを嗜みながらおじさんたちのファッションを眺めていると、否が応でも目に付くポイントがある。それは「網目のベストを着ている人の率が高い」ことだ。

原宿ではフィッシングベストが流行中。https://t.co/Ze940Eoy7Y pic.twitter.com/29BOClD8Dw

— FASHIONSNAP.COM (@fashionsnap) 2018年7月12日

　最近原宿でフィッシングベストが流行している！　という情報は聞いていた。しかし、先週娘を原宿に連れて行ったのだが、残念ながらフィッシングベストを着たオシャレキッズにはただの一人も出合うことはなかった。だがしかし、錦糸町界隈には、海も川も釣り堀もないにもかかわらずこのフィッシングベスト着用率の高さはいったい何なのだろうか。 　フィッシングベストでも特にメッシュタイプが錦糸町では大流行だ。網目基調のため、普段着ているあらゆる服の上から着用するだけ。暑くなく、着るだけで賭場に必要な財布、新聞、鉛筆などを収納するポケットが激増する。機能性が増すのに流行まで押さえているおじさまたち。まさか原宿から流行の波が来てる……ではなくて、実は原宿のファッションは錦糸町から来てるんじゃねぇの？　とすら思ってしまうレベルだ。 　ちなみに記者の友人で、某アウトドアブランドの錦糸町店勤務の経験がある女性がいるのだが、彼女によれば「土日になるとおじさんたちにベストがバカ売れする」とのこと。そのため、本部からは重点的にベストが配置されているとも。記者がギャンブルおじさんファッションについて話すと、彼女は「おじさんが買っていく理由がわかった……」と複雑な顔をしていた。 　ウィンズ錦糸町で流行のフィッシングベストのメッシュタイプは通販サイトなどで2000円台から購入可能。繰り返すが、原宿でも錦糸町でも通用するファッションが2000円台なのだからお得以外の何ものでもない。 　そして今回、撮影許可をくれたおじさまは0人。さすがに勝SPA！の知名度もないなか初回でOKをくれたおじさまはいなかったが、次回さらに賭場ファッションを研究してあなたの賭場に現れたときにはOKしてくれよな！ 《そのほか注目だった賭場ファッション》 ●薄手ジーンズ生地短パン＋純白ワイシャツ＋サンダル（ほぼ便所サンダル） 　遠目に見るととっても涼しげだが、近くで見ると違和感を感じる。なぜかネクタイもしていないのにボタンを全部留めている几帳面さにかかわらず、シャツはズボンにはしまわない。短パンは当然ポケットが大きいが、携帯はネックストラップをつけ、シャツはおそらく2回りほど大きめのものを選択することで、胸ポケットに赤ペンと煙草、マークシートまでも突っ込まれているのに膨らんだ印象を与えない。財布は短パンの大きいポケットに。手元には新聞だけという、シンプルにしては賭場戦闘力の高さが際立つ推定50歳のおじさまファッション。★★☆ ●スポーツ系短パン（黒地に紫ライン）＋横に細い白縞の入った青T＋濃緑フィッシングベスト＋黒ウォーキングシューズ 　短パンには大きなポケットがあるタイプではなく、普通にジョギングなどで着用するようなタイプのためポケットの戦闘力は高くない。さらにTシャツも無難だが、紫や青を基調に白や黒でアクセントがつくという賭場のバランスの中においてはおしゃれな配色。そこに不足したポケット戦闘力を格段に引き上げるフィッシングベストが濃緑でこれも好配色。ただし黒ウォーキングシューズにせずここはスポーツサンダルにしたほうがテーマが統一できていた点だけがマイナス。推定60歳のおじさまファッション。★★☆ ●青と赤の横縞Tシャツ＋グレーの短パン＋肩掛けのバッグ（赤に蓋部だけ黒）＋ビニールサンダル 　スマホで競馬情報を得ていた推定20代のおにいさん。まず赤が強調されて賭場では完全に浮いている。これが若い集団で来て「ここは若者が楽しんでるぜ！」状態ならば問題ないが、残念ながら一人で観戦しており「浮いている感」が強く出てしまった。競馬場や若者集団ならば全然アリだが、錦糸町でソロ活動では残念な部類。どうせビニサンの時点で夜の街には繰り出さないだろう事を考えたら、Tシャツをもっと地味か、逆に割と多かったアロハ系デザインTシャツが吉だった。★☆☆ 取材・文／佐藤永記（シグナルRight） 公営競技ライター・Youtuber。近鉄ファンとして全国の遠征観戦費用を稼ぐため、全ての公営競技から勝負レースを絞り込むギャンブラーになる。近鉄球団消滅後、シグナルRightの名前で2010年、全公営競技を解説する生主として話題となり、現在もツイキャスやYoutubeなどで配信活動を継続中。競輪情報サイト「競輪展開予想シート」運営。また、ギャンブラーの視点でプロ野球を数で分析するのが趣味。