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体操協会 vs コーチ「どちらが悪いか」論ではパワハラは止まらない

“情熱”がパワハラにならないための処方せん

 協会内のパワハラの実態については第三者委員会の調査結果を待つしかないが、現時点で明らかなのは、コーチも強化本部長も熱い“情熱”の持ち主だということ。 塚原家の金メダル「“情熱”という感情の強さが、パワハラ行為へつながりもする。ポジティブな感情も行き過ぎるとネガティブな感情に反転しやすいので注意が必要です。  現在、多くの企業や教育機関等からパワハラ防止研修の依頼を受けていますが、権力が集中しやすい組織にこそ教育が不可欠です。自己の優位性を、人を追い込むためでなく、人を活かすために使う、その方法を学ぶのです。  パワーを適切に出力すれば、組織の秩序は保たれ、コミュニケーションを良好に維持できます。パワーを使って、自尊心を傷つけてしまう恐れがある場合、即座に出力停止にします。パワーの質と量をコントロールする『パワーをマネジメントする』という発想と実践です」

組織の問題は、内部からは見えにくい

 組織に内在する問題は、その組織にいる人には見えにくいもの。組織のトップは、外部の第三者からの指摘に対し、一つずつ改善していく。そして、現場の声に耳を傾け、役割や規則は丁寧に伝える。そんな“あたりまえ”のことが大事だという。 「お互いに話した量が多いほど、納得性も上がります。事実、考え、気持ち等を共有することで関係性も改善できます。『対話を重視する』という方針を徹底することで組織も生まれ変われると思います。協会もコーチも選手も体操にかける想いは同じなのですから」<取材・文/日刊SPA!取材班> パワハラをなくす教科書【和田隆氏 プロフィール】 メンタルプラス株式会社代表取締役。カウンセラー、コンサルタントをする一方、ハラスメントやメンタルヘルス、睡眠改善、コミュニケーションなどをテーマに、民間企業や官公庁、教育機関で講演・指導を行う。著書に『パワハラをなくす教科書 「健康経営」を実現する基本と原則』(方丈社)
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パワハラをなくす教科書

「健康経営」を実現する基本と原則

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