岡田准一がホラー映画に初挑戦した「知られざる理由」を明かす
12月7日公開の映画『来る』で主演を務める俳優・岡田准一。去年から今年にかけて『関ヶ原』『散り椿』と重厚な時代劇が続いたが、今回は謎に迫るオカルトライターという役で自身初となるホラー作品に挑む。“俳優”としての高い評価に甘んじることなく深化を続ける彼の美学と、V6のメンバーとして“アイドル”であり続けることへのこだわりに迫った。
――ドラマ・映画と大作の主役を張るイメージが強かったので、ホラー作品が初挑戦だったとは意外です。
岡田:オファーの際、中島(哲也)監督から直筆の手紙をいただいたんです。最近は重い役を背負うことも多いと思うけど、自由にできる役をやりませんか、むしろやりたいんでしょあなた、というような内容が書かれていました(笑)。『告白』のときに松たか子さんに手紙を書いて以来2人目だそうで、すごく嬉しかったですし、求められたことに応えるのが俳優の仕事だと思っているので。
――撮影現場の様子はどのような雰囲気だったのでしょう。
岡田:中島監督に料理されてる感じがした現場でしたね。例えば「ここで水を飲んでください」「見るときの角度はここで」というようなビジョンが監督のなかにしっかりあるので、こちらからは何も言うことがなかったです。ただ、女性陣に比べて僕と妻夫木(聡)くんはほとんど指示がなくて。2人がラーメン屋で話すシーンでも、監督としては僕らよりコショウの位置のほうがずっと気になってましたから(笑)。でも、そういう作品の一部としての自分を楽しめる現場ではありましたね。
――内容的にはどういった部分に魅力を感じましたか。
岡田:ホラー的な側面ではない人間の“怖さ”が描かれているのが魅力的でした。いい人そうに見える人が本当は闇を抱えていたり、闇を抱えている人が最後はしっかりしていたり。人間の浅さと深さが出ている映画だと思うので、僕が演じた野崎をはじめ、登場人物の誰かしらの部分に、見る人にとっては当てはまる部分があると思います。
――妻夫木さんが演じるイクメンパパ・秀樹が自らのブログで積極的に育児アピールする一方、実は裏の顔が違うという描写は、世の父親にとって身につまされるものがあると思いました。
岡田:自分は父親がいなかったので、父親がどういうものかわからない部分が多少ありますが、やっぱり親子って切っても切れないものだと思うんです。何があっても子供だし、何があっても親だし。それは自分の母親を見てもそうだし。見え方、見せ方は人それぞれなので一概には言えませんが、親も子も常に愛情を求めている、というのが親子関係なんだと思います。
――年齢なのかライフステージなのか、どこかの時点で深く考える時期が必ずあるということですか。
岡田:今回、僕が演じた野崎は、過去にあるトラウマを抱えていて、愛するということがよくわからなかった人間だったと思うんです。それをずっと心の中で抱えながら生きてきたけど、この作品では最後に何かに気づかされる。彼がどんな選択をするかも含め、過去も現在も流れに任せるという、ある種の“強さ”を彼には感じました。
※11/27発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです
【岡田准一】
’80年、大阪府生まれ。’95年、V6のメンバーとしてデビュー。以降、俳優として活躍。’18年の日本アカデミー賞にて『関ヶ原』で優秀主演男優賞を受賞。映画『ザ・ファブル』が’19年公開。5夜連続ドラマスペシャル『白い巨塔』(テレビ朝日)が’19年放送予定
取材・文/中村裕一株式会社ラーニャ代表取締役。ドラマや映画の執筆を行うライター。Twitter⇒@Yuichitter
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