ニュース

「コウモリも食べられないエセ保守が一番嫌い」 戦跡を巡り続ける女性ジャーナリストが小林よしのりの『戦争論』を分析

自衛官だった夫への気遣いと退官後の変化

 そして、戦争にまつわる取材にのめり込んでいった笹氏だが、プライベートでは自衛官と結婚している。 「主人は出会ったとき50代で、18歳年上。でも、私から見れば50代なんて戦後生まれのひよっこじゃんと(笑)。と言うのも、私は元日本軍兵士の90歳、100歳といったおじいさんばかり取材しているもので、年齢の感覚がずれてしまい、年が離れている気がしないんですよね」  笹氏には、自衛官の妻として、大切にしていたことがあるという。 「自衛官は(災害や戦争など)有事にこそ職務を遂行しなければならないので、昔の言葉でいえば、『後顧の憂いなく』任務にあたってもらいたいと。それで、どれだけケンカをしていても、毎朝にっこり笑って送り出すんです。自衛官は出かけたまま、戻らないかもしれない。万が一のとき、『ケンカしたまま死ぬのか』と思ってもらいたくない。にっこり笑った顔を最後の姿としてほしい。それが自衛官の妻としてせめてわたしができることだと思っていました」  だが、3年ほど前に夫は定年退官した。民間人となった今は、「『朝は起こさないでください』と言っています(笑)」とのことだ。  さて、笹氏が師範を務める「ゴー宣道場」の主催、小林よしのり氏と言えば大きな議論を呼んだ『戦争論』の著者である。「日本を右傾化させた」「小林よしのりはネトウヨを生んだ」などの批判を多く浴びてきた。だが、笹氏は『戦争論』を緻密な資料研究に基づく検証本であり、さまざまな視点から戦争を照射している本だと評価している。確かに日本の“空気“を変えた一冊であるが、一方で、笹氏は「『私は保守です』と“誇らしげに”語る人が増えてきた」ことが気になるという。『戦争論』の大きなテーマは「個と公」、つまり公と私の関係性を描いていたのだが、そのことを理解していない人が多いのではないか、と指摘する。 「その“自称保守”は本当に保守かと。『日本軍は、本当は素晴らしかった。ゆえに、日本人は素晴らしい。ゆえに、日本人である自分は素晴らしい』という理屈なんですよね。それは、自分に下駄をはかせるためなんです。よって立つところが、公ではなく、私じゃないですか。そんな人に日本軍を誇る資格はないと思っています」  笹氏自身も現場で取材するなかで、「わかっているつもりで、全然わかっていなかったことが何度もある。すでに結果を知っている者の目線で語ってしまい、反省することの繰り返しです」と語る。 「戦争というものを一言で語ることは難しい、というか不可能でしょう。戦場ではさまざまな体験をした人がいて、それぞれの戦争への見方があります。つらい思いをした人もいれば、一方では楽しい思いをした人すらいる。小林先生の『戦争論』は、それを全部ふまえています。私が『戦争論』の中で重要だと思っているセリフのひとつに次のような言葉があります。『わしが『ゴー宣』描き始めたのも大人たちがいきなり天下国家を語る言葉についていけなかったからだ/しょせん戦争すら知らぬ甘ちゃん世代の身/身の丈にあった話からしよう』(『戦争論1』55ページ)」。つまり地に足をつけて思考する。わたしはこれがものすごく大事なスタンスだと思いますね」

「ゴー宣道場」で司会をする笹幸恵氏(2018年3月11日撮影)

取材・文/週刊SPA!編集部
1
2
ゴーマニズム宣言 2nd Season 第3巻

女性・女系天皇実現、アメリカからの脱属国、そして性暴力根絶etc. 劣化した日本を再生せよ!!


ゴーマニズム宣言 2nd Season 第2巻

終わりゆく平成。しかし、『ゴー宣』の「最期の戦い」はまだまだ終わらない!小林よしのりが平成を総決算!新天皇即位を寿ぐ


ゴーマニズム宣言 2nd Season 第1巻

あの『ゴーマニズム宣言』が、23年ぶりに『週刊SPA!』に復活!! 小林よしのり、最期の戦いが「より凶暴に」始まる!

おすすめ記事