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“男らしさハラスメント”で病んでいく男たち



男らしさを失うことは「負け」ではない


 ダイバーシティが叫ばれ、女性らしさからの解放が進んだ’18年は、「#Metoo運動」を発端に男性から女性へのセクハラが暴露され、性の不平等が告発された。マッチョな男性像が否定される一方、なぜ男性らしさからの解放は進まないのか。

 これに対しておおた氏は、「経済力や強さなど、もともと男性のほうが持っているものが多いからでしょう。『女性らしさの解放=権利の獲得』とポジティブな印象があるのに対し、『男性らしさの解放=何かを失う』とネガティブな印象が強い。だから手放せないんです」と続ける。

 実際、「毎日が辛いが、弱音を吐いたら『負け』だと思っている」(47歳・医療)など自分一人で不安を抱え込む男性も多い様子。

「男性は『何事も黙って耐える』ことを美徳とするせいか、辛くてもギリギリまでため込んでしまう。結果、うつ病や隠れアルコール依存症を発症する人も増えています」と海原氏は警鐘を鳴らす。だが一方で、変化も生まれつつある。

「ここ最近、40代男性を中心に、ストレスチェックなどを通じて『疲れた』『心が辛い』と声を上げる人が増えてきました。事態の深刻さの表れではあるものの、多くの声が上がるほど社会も少しずつ変化していくはず」(海原氏)

「男という性」から外れることは、決して負けではないのだ。<取材・文/藤村はるな>

【前川孝雄】
FeelWorks代表取締役。400社以上で「人が育つ現場」創りを支援。青山学院大学兼任講師。著書に『一生働きたい職場のつくり方』(実業之日本社)など

【海原純子氏】
心療内科医。日本医科大学特任教授。日本生活習慣病予防協会理事。著書に『男はなぜこんなに苦しいのか』(朝日新書)など。歌手としても活動する

【おおたとしまさ】
教育ジャーナリスト。男性の育児や、子育て夫婦のパートナーシップ、受験など幅広いジャンルで活躍。近著に『中学受験「必笑法」』(中公新書ラクレ)など

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