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意外にも初の刑事役!? 木村拓哉が『マスカレード・ホテル』で見せる新境地

 今、俳優として新たな存在感を放つ木村拓哉。新作映画『マスカレード・ホテル』では、原作を手がけたベストセラー作家・東野圭吾をして「木村拓哉をイメージして描いた」という主人公・新田浩介を演じる。意外にも初の刑事役となる最新作への思いから、今なお挑戦を続ける役者としての矜持について聞いた。 マスカレード・ホテル――今回、満を持して刑事役に初めて挑まれました。 木村:刑事って、戦隊モノにちょっと近い存在感があると勝手に思っているんです。自分が視聴者だった頃、『太陽にほえろ!』とか『あぶない刑事』とか、田村正和さんがやった個性的な『古畑任三郎』とか、僕たちをときめかせてくれた刑事がいっぱいいたじゃないですか。もちろん変身はしないですけど、そこにいてくれるから安心する、真似して走りたくなるような存在。今回の作品では、そういう刑事を演じられて、とても楽しかったですね。 ――木村さんが演じられた新田刑事やバディを組むホテルマンの山岸尚美について教えてください。 木村:捜査官としてホテルに潜入した新田は当初、自分は人々の安全を守る刑事で、「ホテルマンなんて」っていう勝手な色眼鏡で見ていたんだと思います。それが、長澤まさみさん演じる山岸を通して心境がだんだんと変わっていく。最終的には賛意と尊敬の気持ちが生まれてきて、“身内”であるはずの警察の上司からは「お前、いつからホテル側の人間になったんだ」っていう一言をもらうまでになる。そういった内面の変化がとても興味深かったですね。今回の作品の撮影中は監督とアイコンタクトを取りながら、「今、ちょっとホテルマンに寄りすぎたかな?」とか少しずつ調整して、刑事の顔とホテルマンの顔のバランスをずっととっていました。 ――ホテルマンたちのプロフェッショナリズムも印象的でした。 木村:僕自身、制服を着て、髪を整えると、それだけでメンタリティが一気に変わりましたし、何より自分が撮影現場に赴いたとき、すでに研修をしっかり受け、ホテルマンとしてできあがっている長澤さんたちがいたんです。本当に全員が同じ角度で頭を下げて、同じ間で起こすんですよ。だからあとはもう劇中の新田同様、僕は見よう見まねでそのなかに飛び込みました。 ――長澤さんは完成報告会見で、「(木村さんは)どんな演技もすべて受け止めてくださる大きな方」という感想を述べられていましたね。 木村:驚きました。これは自分のハウツーかもしれませんけど、たとえば今、お話をさせていただいている方が目の前にいるなら、その人のすべてをしっかり感じながら話すようにしています。「自分が演じるキャラクターはこうだ」っていう軸を持つことはもちろん重要ではあるんですけど、それだけじゃ足りない。長澤さんは「受け止める」という言い方をしてくれたけど、要は山岸を演じている彼女の焦りだったり、苛立ちだったり、恐怖だったりっていうのをすべて感じて、僕のほうは新田として返しているだけなんです。やはり演技は、相手がいて初めて成立すると思うので。そういった感覚が現場にいる全員で共有された瞬間に、すごいストーリーが生まれるんじゃないかと思います。 ※12/25発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです。 【木村拓哉】 ’72年、東京都出身。’88年にジャニーズ事務所に入所。ドラマや映画で主演を務めること多数。近年はドラマ『A LIFE~愛しき人~』(’17年、TBS系)、『BG~身辺警護人~』(’18年、テレビ朝日)など、映画『無限の住人』(’17年公開)、『検察側の罪人』(’18年公開)などに出演 取材・文/高野麻衣
週刊SPA!1/1・8合併号(12/25発売)

表紙の人/ 木村拓哉

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