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いずも型護衛艦に戦闘機が搭載!? 何が変わるの? 問題点は?

「自衛隊ができない50のこと 46」

いずも型護衛艦にF-35Bを搭載できたら何が変わる?

護衛艦「いずも」型

護衛艦「いずも」型(出典:海上自衛隊ホームページ)

 防衛大綱によると、いずも型護衛艦に短距離離陸・垂直着陸(STOVL)機のF-35B、ステルス型戦闘機を搭載できるように改修するようです。尖閣諸島沖の海上に戦闘機が飛び立つ拠点があることの意味は大きいです。防衛大綱ではこの実質上の空母にあたるいずも型護衛艦の改修後の呼称を「多用途運用護衛艦」等の幾つもの名称で呼び、「空母」と呼ぶことを避け続けています。どうしても「護衛艦」と呼ぼうとしている後ろ向きな姿勢はちょっと残念ですが、その発表で我が国のこれまでの国家防衛が消極的なものから積極的なイザとなったら軍事力も視野にいれる意思を世界に向けて発信するようになったことはまちがいありません。ここではその空母の名称をわかりやすくするために、仮に「いずも型空母」としておきます。護衛艦と呼ぶとやはりわかりにくいですよね。  この新しい「いずも型空母」で何ができて何ができないか、問題点はどこなのか。キーワードをポンポン出す形で軍事専門家ではない一般の人も「いずもが空母化されたら何が変わるの? どうなるの?」を難しい言葉をできるだけ使わず、ざっくり説明しますねー。「こまけぇことはいいんだよ」って人はカモンでございます。

いずも型護衛艦に戦闘機が搭載されると何がいいの?

 空母と聞くと米軍の巨大原子力空母を想像してしまいます。F-18ホーネットやE-2Dホークアイなどのたくさんの艦載機をもち、自由自在に偵察も攻撃もできるのが空母のイメージです。しかし、いずも型空母は米軍の原子力空母ほど大きくありません。だから搭載される戦闘機の数も少数です。いろんな飛行機をたくさん載せられないのです。まず、最初のキーワードは「いずも型空母は華麗なる攻撃型空母にはなれません」です。  F-35Bに対地攻撃能力を付けるべきだという議論がありますが、いずも型護衛艦を空母してもカタパルトがつく訳じゃないです。甲板の長さも短いため、短距離発進と垂直離発着能力を使うことになります。すると、発着に燃料が大量に必要です。航空機は燃料の量で空中の活動時間が決まります。発着艦に大量の燃料が必要ないずも型護衛艦の艦載機となるF-35Bは長く空中を飛べないのです。だから、次のキーワードは「いずも型空母では敵地深くへの攻撃にはむかない」です。だって、燃料を離発着でつかっちゃいますから。もちろん、空中給油などすればできるかもしれませんが、それは別の話です。サヨクの皆さんが心配する「外国を侵略する力」にはならないってことです。
 でも、これまで尖閣諸島沖にやってくる中国の公船や軍艦、戦闘機や爆撃機に対して洋上からすぐに飛び立つ戦闘機があれば俄然、有利です。これまで戦闘機は那覇基地等に常備されていましたが、配備数が少なく編隊を組んでやってこられると圧倒的な航空機数の物量に押されぎみでした。次のキーワードは「いずも型空母は離島の空の防衛の劇的変化をもたらす!」です。  戦闘機が飛び立つために必要な長さの滑走路を新たな陸上に作るのは難しいのです。現在、芦屋基地がその離発着に邪魔になる樹木を伐採し、基地の拡張工事をしていますが、反対運動が起きています。与那国や石垣島など尖閣諸島に近い島に航空基地を新たに作ることや、拡張することには様々な問題があります。洋上に空母をもてばそれに近い機動力も得られます。中国は空軍拠点を次々に増やし、自国生産で戦闘機数を増やし、我が国と在日米軍を数で圧倒しようとしています。これに対して遠い本土の航空基地からでは到着時間がかかり、帰還する燃料も必要なため、わずかな残り燃料分しか追跡できません。これじゃスクランブル対処もままなりません。 「空の脅威を洋上で迎え撃つ!」という意思が今回のいずも型護衛艦の空母化発表なのです。この発表で、少なくとも今後、尖閣諸島沖の防衛力は格段に上がります。尖閣周りに空母艦載機をともなっていずも型空母が巡回するのもいいでしょう。さらに、米軍との合同演習に参加すれば、我が国のもつ海軍力の向上を見せつけることができるでしょう。次のキーワードは「いずも型空母は見せる防衛力」なのです。次々と衝突の危険を競り上げていくエスカレーションラダーのストッパーとなる力を持ちます。
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いずも型空母が機能するための問題点はどこ?
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