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いずも型護衛艦に戦闘機が搭載!? 何が変わるの? 問題点は?

いずも型空母が機能するための問題点はどこ?

 では、いずも型空母を持つことの問題点、これから考えていくべきポイントはなんでしょうか? まず、戦闘機はこれまで航空自衛隊しか持っていませんでした。海上自衛隊にも韓国から火器管制レーダーの照射を受けたP-1哨戒機などの航空機があり、パイロットはいます。しかし、戦闘機はなく、戦闘機パイロットはいません。いずも型空母の艦載機パイロットは海上自衛官なのか航空自衛官なのかから問題となります。「海と空」のどちらが担当するか、どちらが指揮命令権をもつのかを決めていかないといけないはずです。  仮に艦載機であるF-35Bを航空自衛隊のパイロットが担当するなら、調達も航空自衛隊となるでしょう。また、空母艦載機の訓練や空母艦載機の所属は航空自衛隊になりそうです。では、その場合、船に乗ったときにいくつもの問題が出ます。たとえば、「いずも型護衛艦に搭載されている間の空母内での修理整備はどうするのか?」という問題です。そして、「その整備員やパイロットの艦艇内の管理の指揮命令権や管理は誰がするのか?」となると艦長との関係も面倒です。「空と海」の統合運用の整理整頓が必須です。  これまでいずも型護衛艦にはヘリしか搭載されていませんでした。ですからヘリの燃料は搭載されており、ヘリのための整備員がいて、ヘリのための交換部品がありました。ここに固定翼の戦闘機のためのクルーと燃料と交換パーツなどが入ります。陸海空の統合運用の決め事をしっかり考えていくターニングポイントとなるはずです。

まずはスポットの空母運用からになるのでは?

自衛隊

撮影/小笠原理恵

 指揮命令権などの問題もあるため、調達が終わってパイロットの訓練が完了しても、しばらくは試験的スポット運用ではないかと思います。米軍の空母は最低3隻で運用―訓練―修繕をローテーションして防衛力に穴が開かないようにしています。いずも型護衛艦は2隻しかありません。あと1隻足りません。まだまだ足らないのです。いずも型空母の構想は海の守りについて様々な問題を陸海空の3幕で詰めていく時が来たということです。いずも型護衛艦の2番艦、「護衛艦かが」が「空母かが」になる日をワクワクしながら見守りたいと思います。<文/小笠原理恵>
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

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