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被災地でがんばる予備自衛官の待遇がヒドい。少ない手当てとキーホルダーって…

「自衛隊ができない50のこと 43」

これで大丈夫? 自衛官の数

 自衛隊は平成29年3月末日統計で24万4893人の現員数です。公務員削減で絞りに絞って合理化した人員数ですから、計画された訓練や演習以外のことをすると即座に人が足らなくなります。だから、突発的に起こる災害派遣には即応予備自衛官や予備自衛官(ふだんは別の仕事をしていて、有事に召集される非常勤の自衛官)に召集がかかるのです。  自衛隊は軍ではないという人もいますが、国を守るために戦闘する組織「自衛隊(軍事組織)」には人員の余剰が必要です。自衛隊員は危険を顧みず戦うために、本質的に人員が損なわれるリスクを負っています。軍事組織は余剰人員を大量に抱えていなければすぐに戦闘能力が失われるものなのです。しかし、我が国は自衛隊を軍人ではなく公務員として捉え、「合理的に」人員を配置し少ない人数で職務を行うことにしています。リスクを見て見ぬふりの人員数ですが、コストは安く済むことは確かです。

予備自衛官を招集しないと手一杯の人員不足

 予備自衛官制度は古く、昭和29年の自衛隊発足と同時に設立されました。初めての召集は平成23年、東日本大震災の時の災害派遣でした。  さて、この予備自衛官、即応自衛官とはどういう制度でしょうか。彼らは常勤の自衛官ではなく、普段は一般の会社などで別の仕事をしています。イザという時に自衛隊に編入されて任務に就くのです。自衛隊を途中退職した人たちの中で志願者が登録され、自衛官としての能力を維持するために、年間で決められた日数を訓練のために出頭して短期間ですが厳しい訓練をします。登録すれば所定の手当がもらえます。しかし、所定の訓練のためにたびたび会社や仕事を休むことを職場事情が許さないこともあり、なかなか必要数は集まらず、その充足率は6割を切ってしまいました。この穴を埋めるべく、一般公募者予備自衛官にも即応自衛官への門戸を広げることになりました。

予備自衛官が災害派遣召集される際に起こる大問題

 予備自衛官(即応自衛官)が通常の訓練に出頭する場合、規定の手当は翌月に遅滞なく支払われます。即応自衛官で訓練時の最低額は日額10400円、予備自衛官でも8100円もらえます。  しかし、災害派遣への召集を受けた場合はその扱いが全く異なります。その予備自衛官をいったん常勤の自衛官に編入して、「常勤自衛官としての月給を日割り計算した金額」を支払うことになっているのです。この金額は自衛官としての階級などにより異なりますが、通常の訓練時にもらっている金額より大幅に減額されます。しかも、支払いは事務的な諸手続きや計算が終わってから(おおむね半年から1年ほど後に)ようやく払われるという制度です。  このため、災害派遣に出向いた予備自衛官は自分の手当がいつ振り込まれるのか、いくら振り込まれるのかもわからないまま、不安な日々を過ごすことになります。  東日本大震災の最初の災害派遣時にはまだ制度が整っていなかったとしても、そろそろ翌月支払いができるシステムを構築すべきです。別の仕事を持ち民間人として日々の生活を営みながらも国の為に尽くしたいと考える志の高い人たちを、不誠実な対応で失望させてしまっては元も子もないと思います。
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予備自衛官には防衛記念章はわたさないなんて!
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