MVはカッコいいほうがいい
――では、MVの撮影はいかがでしたか? ダンスシーンは、夜から朝までというスケジュールだったそうですが。
おばた:なんせ指揮をとってくれていた方がスペシャリストだったので、完全に身を委ねてましたね。
河本:精いっぱいなんですよ。ほんまに精いっぱいめいいっぱいやっているんですけど、寒さには勝たれへんしココアの消費量は半端ないし。
――挫けそうになったんですね。
おばた:でも、僕ら若手は「河本さんやっぱすごいな!」ってなってましたよ。ここに河本さんがいるから言うんじゃないですけど。
河本:……それもう一回言ってくれる?(レコーダーを指さして)
おばた:いやいやちゃんと録れてますから!
河本:録れてないかもしれないから。
おばた:大丈夫ですから(笑)。河本さんは、深夜2時3時に一番声を出してくれるんです。「まーきのっ」とか、僕らのギャグを言って盛り上げてくれて。
河本:時間的にしんどくなるころやったんですけど、見せ場のシーンの撮影だったんですよ。そんなん、テンション上げないとええもん撮れないじゃないですか。朝から別の仕事に行く人がいたからダラダラしてたら撮りきられへんし。
――だから自ら。
河本:そうですね。(村上)ショージさんなんて63歳ですよ? そらしんどいやろと思いますからね。ばたおの「まーきのっ」もやし、みんなのやつもやって少しでもテンションが上がるようにしてました。でもフタ開けてみたらやりすぎて結局そのシーンが全然なくて。(イメージシーンの)酔いつぶれてるとこだけなんすよ僕のシーン。自分の色消してもうたわ。
おばた:でもすごかったんですよ! 感動でしたもん。芸人とはこうあるべきだなと思いました。
河本:そこまで伝わるもんがあったならよかったわ。俺リーダーやからね。急に任されただけやけど。
――メンバーをもり立てて、まとめる役回りだったんですね。
河本:イベントを自分で企画してやっているんで、このメンバーのなかでは若手とも壁なくしゃべれるんです。ばたおなんか僕のお芝居にも出てくれてるし、先輩を気にして自分の色を出せずにいた若手にも気を配れるんでちょうどよかったんでしょうね。雰囲気もよかったですからね。
おばた:そう! めちゃくちゃよかったですね!
――では、MVのなかで注目してほしいシーンなどあれば教えてください。
おばた:えー、なんでしょうね……。
河本:どっちが好きなん? 踊ってる自分か、演技してる自分か。俺、実はばたおがよかったシーン見つけてんねん。言ってあげようって思ってるんやけど、ばたお自身はどう思うの?
おばた:僕は、ダンスのほうですね! 動くという意味では得意ですし。芝居の方はゆりやん(レトリィバァ)とペアで、「やけ酒しているゆりやんをなぐさめる」っていうシチュエーションだったんですけど、ゆりやんはパワーがあるので、ちょっとショック受けちゃったんですよね。「やっぱりこいつ強いな……!」って。
河本:わかる。芸人として爪痕残せてないように思うんやろ? 俺は爪出さんでよかったと思うよ。
――というと、河本さんは芝居がよかったと思っていたんですね。
河本:ばたおの芝居、すげえいいって思いました。僕が思うにあの2人はカップルで、彼氏の方はぶっちゃいくな彼女のことが好きやねん。彼氏は周りから「なんであいつと付き合ってんの?」って言われてるけど、「顔だけで決めてるお前が最低や」って平気で笑えて、彼女を好きっていうのがこの映像から出てる。めっちゃいいよ。これがいいのよ。
おばた:本当っすか? それはよかった。嬉しい!
河本:あれで彼氏のほうもぶちゃいくやったらあかんねん。普通に顔ええやつがやってるからいい。ばたおでよかったよ。水槽の奥に見える2人が、むっちゃ好き合ってるんやなって見えてたから。俺は、そのシーンと、ケンさん(水玉れっぷう隊)のシーンと金田(哲・はんにゃ)が笑いながらソファにゴロンとするシーンが好きやねん。
おばた:うわぁ、救われました。
河本:そもそもああいう場合笑いはいらんねん! あそこで「まーきのっ」とかやってたら、俺芝居のことむちゃくちゃに言ってたと思う。もう一回俺の見てみ? ちっとも笑われへんから。一回も笑かそうなんて思ってないから。MVはやっぱりカッコいいほうがええんですよね。芸人の面白さはみんな知ってますから。
――今回のMVを通して実感したところですね。では河本さんご自身の注目シーンは?
河本:ダンスシーンは盛り上げるくらいしか貢献できていないかなって思うので、お芝居のほうですかね。ベロベロに酔った姿を演じたんですけど、朝からとんでもないスケジュールをこなしてからきたのが功を奏して、現場に来たときには飲んでないのにフラフラやったんですよ。トイレから出ただけなのに「いい! すごくいい!」って言われたくらい。なので、大して芝居をしていないのにベロベロに見えていると思います。そこが僕にとっては見どころですね。