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江籠裕奈「大人のかわいいにも気づいてね」という思いを込めて

 ソロアイドルの江籠裕奈が、’24年10月30日(水)に1stアルバム「Believer」をリリースする。これまでの楽曲同様、今回の新曲も自ら作詞。なんと、短期間に6曲も書き下ろしたという。「歌詞で表現するのが性に合っている」という彼女。その理由とは。 江籠裕奈

フェス出演とアルバム制作で「夏はめっちゃ忙しかった」

――今年の夏はフェスにたくさん出演していました。経験値がさらに上がりそうですが、進化や変化を感じる部分はありますか? 江籠 今年いろんなフェスに出たのは、多くの人に私という存在を知ってもらうためだったんです。でも、思いがけず“昔から私を知ってくれている人”に再会できる場にもなりました。例えば、昔SKE48を応援していた人が、別のアイドルを見るために来たフェスに私も出演していた、とか。しかも、私の特典会に来て懐かしい話をしてくれる人もいて。そのたびに「私、頑張ってきたんだな」とこれまでのことを振り返っちゃいましたね。 ――それが、自分自身の力になったり。 江籠 ですね。それに、アイドルファンの方はアイドルのことをずっと好きでいてくれるんだと改めて実感しました。私の近くからは離れたかもしれないけど、「まだアイドルが好きだったんだ」と知れたのはうれしかったです。 ――そんなフェスのさなかに、今回のアルバムも制作していたと。 江籠 はい。この夏はめっちゃ忙しかったです。初めてアルバムの会議をしたのは4月だから長い時間をかけて準備しているんですけど、本格的に楽曲に取り掛かれたのは7月からなので……7、8、9月は、1か月に2曲ずつレコーディングしていました。 ――ハイペースですね! 江籠 歌詞も並行して書いていたので、今振り返ってみても「夏はよく頑張ったな」と思います(笑)。 ――中でも、特に難しかった曲は? 江籠 最後に出来上がったラップの曲「やんなっちゃうな」です。スタッフさんが「あまり好きじゃないと思うけど、ラップもあるよ」と提案してくれて。新しいテイストだからとアルバムに入れることにしたんですけど、私自身触れてこなかったジャンルだし、歌詞の書き方も歌い方もわからなかったんですよ。そういう意味で難しかったです。作詞は、私がやりたいテーマや入れたいワードを書き出して、それをきれいに並べていただく形で(共作の作詞家・kazuei氏に)仕上げていただきました。 ――歌った感じはどうでしたか? 江籠 リズムが大事だとは思っていたんですけど、正解があるわけではないから難しかったです。息継ぎのタイミングもなかなか掴めなかったし、技術面で難しいことはたくさんありました。ただ、あくまでも“かわいいラップ”を目指していたので、そういう意味ではいい曲にできたと思っています。

“自分が好きな自分”でいられるのが一番だと思う

江籠裕奈――リード曲「Hello Happy My Life!!!」は、早い段階で作りはじめていたのでしょうか? 江籠 はい。リードなので、アルバムのテーマが決まってすぐに、曲のテーマも話し合いました。デモを聴いたときセリフパートがあったのが印象的で、「ここに、頭の中で考えていることを入れてみたら面白そうだね」という話があがって。ごちゃごちゃとした思いをセリフにして入れることにしたんです。デモの段階よりもセリフパートを長くしてもらって。 ――へえ、そんなアレンジもしていたんですね。 江籠 セリフだから、決まったメロディに言葉を当てはめていく本来の作詞よりも、言いたいことを入れやすかったです。脳内でいろんな感情の登場人物がしゃべっているようなイメージで書き進めていきました。でも……一方で完成が一番不安な曲でもあったんですよ。「ほとんどセリフだけど、これがどんなふうに“曲”になるんだろう?」って。 ――ともあれ、ファンのみなさんは最初にMVでこの曲と出会っているじゃないですか。映像もメロディも歌詞もすべてインパクトがあってガツンときて、すべてが頭に残って。この曲の出会い方としては、理想形だったんじゃないかなと思います。 江籠 たしかに。今回書き下ろした6曲は、全部「いいな」と思えるくらい満足しているんですけど、この曲はちょっと存在感が違って。リード曲でMVを作ると決まったとき「だったらやっぱり、これがリードだよね」と改めて思うくらい、しっくりくる感じがありました。 ――ちなみに、この歌詞のなかには江籠さんが日頃考えていることも入っている? 江籠 それは……入ったり入らなかったり、ですね。 ――サビに〈最後に決めるのは いちばん心踊る方〉とありますが、江籠さんもそうやって決めてきたのかな?とちょっと気になっていて。 江籠 あ、そこはそうですね。私は、“自分が好きな自分”でいられるのが一番だと思うんです。自分以外の誰かにも影響が及んでしまう場合はまた別ですけど、自分ひとりに関わる選択であれば迷わず自分らしいほうを選びたい。 ――例えば、江籠さん自身はどんなときにそういう選択をしましたか? 江籠 わかりやすいところで言うと、ツインテールですかね。一時期「ツインテールはしないほうがいいよ」と言われていて、なんとなく従っていたんですけど、「でも私、ツインテール好きなんだよな」と思って。 ――そこからツインテールを解禁したと。 江籠 はい。「自分がなりたい自分でいいじゃん!」って。で、きっとみんなもそんなふうに「自分らしく生きたい」「自分が好きな道を選びたい」と思っているけど、できていない人のほうが多いと思うんですよ。 ――無意識にその欲求を押し殺している可能性がありますね。現代の人たちは。 江籠 だからこそ、この曲の中から「自分がなりたい自分に!」というマインドを感じ取ってもらって、ちょっとでも誰かの希望になれたらいいなと思っています。決して押し付けるわけではなくて、「そういう世界があったら幸せだよね」というメッセージです。 ――また、「いくつになっても可愛くいたい♡」からは、歳を重ねることへのリアルな心情を感じました。 江籠 年齢を感じさせないのがアイドルのいいところだと思うんですけど、アイドルじゃないオフの自分を客観視したときに、「大人だから年相応の格好をしないといけないのかな」「かわいいに憧れていてはダメなのかな」と、急にリアルに感じてしまう瞬間がある気がするんです。その気持ちに寄り添うアイドルソングはあまりないと思うので、作ってみました。「いくつになっても可愛くいたい♡」は、私がいつかの七夕のとき短冊に書いた願いごとでもあって、今も変わらずベースにある願いなんですよね。 ――女性アイドルは、いまだに賞味期限が決まっているように思います。江籠さんはそういう世間一般のイメージをどう捉えていますか? 江籠 やっぱり、男性アイドルと比べて年齢に関しては言われやすいですよね。年齢を感じさせない振る舞いやパフォーマンスをしているのに、「もう○歳だから」と、“なぜか”言われたりする。それだけ、若くてキラキラしている人たちこそアイドル、というイメージが定着してしまっているのかもしれないですね。だから私は、「大人もかわいくていいよね」「大人のかわいいにも気づいてね」という思いをこの歌にしました。
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