美山加恋、芸歴22年で得た自信「15年間、積み重ねている感じがしなかった」
2002年に5歳でデビューし、ドラマ『僕と彼女と彼女の生きる道』にて、草彅剛が演じた主人公の娘役を演じ“天才子役”と世間の注目を集めた美山加恋。これ以降も、連続テレビ小説『純情きらり』や『ちびまるこちゃん』、『砂時計』など、映像作品を中心に数多くの作品に出演し八面六臂の活躍を見せたが、そんな彼女は現在、映像作品だけでなく舞台やアニメの世界にも活動の幅を広げている。
今年で芸歴22年。経験に裏打ちされた確かな実力も持っている。そんな彼女が、フィールドを広げたのはなぜか。直近の出演作に触れながら、その理由を紐解く。
――美山さんは「声優」としても活動しています。なりたいと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
美山加恋(以下、美山):アニメは小さい頃から大好きだったんですが、高校生の頃に声優ブームが来たことで声優さんをより意識して見るようになったのが、大きなきっかけかもしれません。それまで私が経験してきたものとは違う“声のお芝居の世界”を認識して、挑戦してみたくなったんですよね。当時、「やりたいと思ったことは、20歳までにやってみよう」と自分のなかで掲げていたこともあって、すぐに行動に移しました。
――実際にやってみて、いかがでしたか?
美山:最初は、同じお芝居の世界なのに全然別物だなと思っていました。たとえば、ドラマの現場で挨拶をするときは役名と名前を言うんですけど、声優の現場では所属事務所と名前だけなんですよ。
――役名は言わないんですね。
美山:そうなんです。そこがすごく新鮮でした。収録スタジオではドアの近くに新人が座って開け閉めをする慣習があると知ったときも、この世界ならではだなと思いましたね。あとは“マイクワーク”も。収録に参加している声優さんが何十人といても、収録用のマイクは大体4本くらいしかないので、自分の出番のときにどこのマイクに入れそうか見当をつけておかないといけないんですよ。
――テレビ番組などでもたまに見る光景ですが、神業ですよね。よくぶつからないなと思います。
美山:本当に! はじめたての頃は、一番意味がわかりませんでした(笑)。「これじゃあ、お芝居に集中できないよ!」って。まるで異業種に転職したような、不思議な感覚でしたね。
――どうやって克服していったのでしょうか?
美山:「どうしたらうまくなりますか?」と、先輩にたくさん質問をして、少しずつ乗り越えていきました。特に、はじめてのレギュラー作品で一緒になった小野賢章さんは、ご自身も子役時代からお仕事をされているのでよく話を聞いてくださって。一つひとつ丁寧に教えてくれたのを覚えています。
教わりながら実践を繰り返していると、だんだんと慣れてくるものなんですよ、やっぱり。結局マイクワークって技術なので、身につけば体が自然と動くようになる。そうして、芝居に集中できるようになっていきました。
――とすると、あとは芝居を突き詰めればいいと。
美山:そうですね。アニメでは“絵に合わせるお芝居”も必要なので、どんなに悲しい場面でも絵が微笑んでいればそちらに合わせなければいけないし、言葉を発するタイミングも絵に任せることになるんです。
ただ、そのぶん絵の力に引っ張られて、自分が思ってた以上の表現に繋がることも多くて。毎回めちゃくちゃ勉強になりますね。お芝居の幅もすごく広がった気がしています。
声優業は異業種に転職したような感覚
お芝居を引っ張ってくれる“絵の力”
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