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JOC・竹田会長の会見が「質疑応答なし」になったワケ。贈賄疑惑の真相は?

セネガル大統領選にもディアク親子の影響が

 疑惑はディアク親子の故郷、セネガルの国情とも密接に絡み合う。竹田氏とともに五輪招致を成功させたときに開催都市・東京の知事を務めていた作家の猪瀬直樹氏が話す。 「一連の報道を見る限り、IOCがまったく無関心にもかかわらず、なぜフランスだけがこだわっているのか? 日本のメディアはまったくわかっていないように思います。この問題を語るうえで前提となるのは、セネガルはフランスの旧植民地であり、フランスは今も『宗主国』として動向を監視・介入する立場にあるという点です。セネガルは’12年の大統領選で、アブドゥライ・ワッド前大統領の独裁体制が崩れたが、前大統領派は再び’19年の大統領選を狙っている……。貧しいアフリカの国々では2億円もあれば大統領選はひっくり返る可能性があり、そうなれば政情不安がひき起こされます。だからこそフランス検察当局は、ディアク父子によるマネーロンダリングの真相解明に必死なのでしょう」  タイミングがタイミングだけに、カルロス・ゴーン事件の「意趣返し」と見る向きもある。だが、そんな「陰謀論」はこじつけと見たほうがよさそうだ。猪瀬氏が続ける。 「今回の疑惑は、カルロス・ゴーンさんを巡る一件とはまったく関係がありませんし、2020年に控える東京五輪を前に事を荒立たせる必要もない。フランスにとって近代以前の旧植民地をいかにコントロールするかは大きな悩みの種であり、ゴーンさんの一件に結びつけるような根拠のない憶測で物事を判断すべきではないのです」  チーム日本の要であった竹田氏のトップ更迭の可能性も否めない。前出の春日氏が話す。 「竹田会長は、自身が委員長を務めるIOCのマーケティング委員会を『個人的な理由』で欠席したが、仏当局が予審に入った今、国内法で守られている日本から出れば、仏当局に拘束される恐れがあったためでしょう。今年6月、JOCでは2年に一度の役員改選があるが、竹田会長は現在71歳で定年規定に抵触する。東京に五輪を持ってきた功労者なので定年を延長しようという動きもあったが、今回の一件で大きく流れが変わった。10期の多選批判もあり、反竹田派の勢力には好機と言える……」  五輪開幕まで550日足らず。竹田体制は維持できるのか? フランス当局の捜査を見守る以外ない。

▼五輪を巡る疑惑の数々は現在、仏国当局が捜査中 疑惑の中心人物であるラミン・ディアク氏は、汚職と資金洗浄の疑いで、昨年フランスで逮捕され、現在取り調べ中。息子のパパマッサタ氏はインターポールを通じて国際手配されているが、セネガルで潜伏生活を送っている。BT社の代表はすでに逮捕・起訴され有罪判決が下されており、竹田氏が起訴されれば、シビアな展開が予想される 取材・文/週刊SPA!編集部 ※1/22発売の週刊SPA!「今週の顔」より
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週刊SPA!1/29号(1/22発売)

表紙の人/ 泉 里香

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