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裏社会の人は何を持ち歩いている!? カバンの中からは大量の健康サプリが……

最近の裏社会人は健康オタク

 さて、冒頭にも出ているが植松さんによると裏社会のトレンドは変わってきているという。いまの流行はズバリ何なのだろうか? 「“健康志向”だね。裏社会の人間はとにかく大量のサプリを持ち歩いている。酒も飲まずにひたすら身体にいい薬を飲んでいる人、多いよ。若い頃は覚せい剤を打って一晩も二晩も寝ないという生活が普通だったんだろうけど、そういった蓄積が歳を取ると身体に出てきてしまうんだ。被害妄想がひどくて鬱状態になってしまうとか。おれもシャブが身体に合わなかった代わりにアル中だったんだけど、今でもサプリがないととっても不安なんだ。サプリというより、もう精神安定剤と一緒なんだよね」 サプリメント そんな植松さんは組織を抜けている現在でも毎日25錠のサプリを服用しているという。効いているかは分からないが、飲まないと体調が悪くなる気がしてしまうらしい。「せっかくシャブを止めたのにサプリ中毒になってしまう人、多い」ようだが、常にサプリを持ち歩くのにはほかの意味合いもあるという。 「裏社会の人間はいつ何が起こるか分からない。すぐに逃げられて長期戦に耐えられる準備をしておかなければならないんだ。着の身着のまま北海道まで逃げることもあった。南米に飛んでマフィアの用心棒をすることもあった。それは突然やってくるから、常にサプリは手放せないんだ」 繁華街 裏社会では「お近づきの印に」という形で最新のサプリやバイアグラがよく差し入れで使われるらしい。円滑にビジネスを進めるには必須のアイテムなのだ。とくに人気は、二日酔い、疲労回復、筋トレ後のリカバリーなどに万能なサプリだという。

裏社会人のトレンドは表の社会から

 さらにサラリーマンたちに人気のあのアイテムも裏社会ではトレンドだという。それは、自分の健康と周囲への気配りも兼ね備えている「アイコス」だ。電子タバコを吸っていると見せかけて液体状の「大麻リキッド」を吸っている……というわけでもないらしい。 「裏社会でアイコスが人気なのは健康志向という面もあるけれど、彼らは社会の流れにとても敏感なんだ。表の社会の流行りをいち早く取り入れることがカッコイイという感覚がある。裏の人間でありながら、より一般人に近い雰囲気でいることが、いまはスタイリッシュなんだよ」  とはいえ、先に挙げたような風俗嬢の借用書をはじめ、「飛ばしの携帯」や「板」などももちろん持っている。「飛ばしの携帯」は他人名義の携帯電話で、「板」は他人名義の銀行口座。詐欺で金を稼ぐ際に必要となる定番セットである。暴力団対策法が強化され、世間の風当たりもさらに強くなった。そんな社会をカメレオンのように生き抜くために、彼らも適応しているのかもしれない。<取材・文・撮影/國友公司>
元週刊誌記者、現在フリーライター。日々街を徘徊しながら取材をしている。著書に『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)。Twitter:@onkunion
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