更新日:2019年01月26日 10:18
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今の20代が「ブランド品を欲しがらない」理由

ファッション誌の低迷とネットの席巻

 吉岡さんは「高い物など必要ない」と言い切りますが、「必要もないしカネもない」と言葉を続ける。 「先ほどは『必要ない』と生意気なことを言いましたが、『カネがなくて買えない問題』という悲しいそもそも論も当然あります。僕は非正規で働いていて、安定しない身分だからより顕著ですが、周りの正社員で働く友達も例外ではないです。 年金 生まれてこの方、景気の良い時代を知らないし、想像もつかない。真面目に働いても賃金は全然上がらないし、年金も貰えるか分からない。そのくせ、月に1万6000円も払う必要がある。お先が暗すぎて、贅沢をする気持ちになんかなれないのが若者の実情だと思います」  だが吉岡さんも、まだ社会を知らない10代の頃は、人並みにブランドへの憧れもあったそうだ。 「高校時代など、多感な時期は『ブランドの服が欲しい』という欲求も少なからずありました。僕が10代中盤の頃はまだ雑誌が今よりも盛り上がっている時代だったので、それを見ながら憧れを抱いていましたね。雑誌に出てる人は『遠い世界に住む人』という感じで。『憧れの人が着ている服を自分も着たい』と思わせてくれるというんですか。  でも今は、フッション誌も元気がないし、ネットでオシャレな人のコーディネートとかを見れる時代です。出る側の人間が身近というか、手が届かない感じがしなく、着こなし次第で誰でもオシャレになれる。僕の従弟は18歳なのですが、ネットでファストファッションを駆使した写真を載せているアパレル店員のコーディネートを丸パクリして服を買っています。下の世代はさらにブランド離れが進んでいるんじゃないですか」  まだ日本の景気が良かったころは、若者が車を買い、高級ブランド品を身に着けるといったことも珍しくなかったのだろうが、生まれてから不景気を経験し続ける現代の若者は、コスパ重視の考えに比重を置くのは当然だろう。景気さえよくなれば、彼らが再びエネルギッシュな思考を持てるようになるかもしれない。<取材・文/ロケット梅内>
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