野田市小4虐待事件に「DVは被害者の保護だけでは根絶できない」。専門家が警鐘
そしてもう一つ、これはDV加害者以外にも応用できるであろう3つの言葉を教え込む。
「1.『相手は変えられない』 2.『相手は最善の選択をしている』 3.『まあいいか』といった考えです。たとえば、加害者は妻の取る行動に何かしらの不満を覚えると、『変えなければならない』と感じます。ですが、相手は変えられないのです。
そして、そんな変わらない相手を変えようとすること自体がストレスに繋がり、事はさらに悪化することになります。先ほど紹介した男性は、妻が掃除をしないことに腹を立てていたのですが、2の『相手は最善の選択をしている』と捉えるように努力した結果、見違えるほどの変化が見られました」
娘を逆さまにしてお風呂に入れる行動を取る男性が、それだけのことで変われるとは驚きである。
「現在では、涙を流し自分の行いを懺悔しています。正直、彼が初めて私の元へ来たとき、『この人が変われたら奇跡だ』と思うくらい酷かった。常にイライラし、私の所から家に帰ると妻にそれをぶつける。でも先ほどの3つの言葉を胸に刻むだけで、いかに自らが間違っていたか痛感したのでしょう。『自分が正しく、相手を正す』という思考から解放されたことで、変化が生まれる。この学び一つで変われるのです」
このように、傍から見れば更生不可能と思えるような人物でも、考えが変わる。この加害者男性は児童相談所との取り決めにより、現在も娘と会えていない。だが妻と娘共に、既に彼を許し、「一緒に住みたい」と話しているそうだ。
またこの事件では、心愛さんを一時保護した児童相談所の対応に批判の声が集まっており、筆者もその対応に疑問を感じずにはいられなかった。だが栗原さんは、「児童相談所を攻めても、そして被害者を保護しても根本的解決にはならない」と力説する。
「児童相談所(以下、児相)、のあり方が議論されていますが、被害者を保護し、加害者から切り離したところで問題は解決しません。児相はあくまで一時保護であって、その間に加害者の心理が変わるはずがないからです。むしろ彼らに、『ウチの子を誘拐された』『児相は敵』という考えを植え付けさせ、逆効果になるパターンもあります」
被害者の保護は意味がない?
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