野田市小4虐待事件に「DVは被害者の保護だけでは根絶できない」。専門家が警鐘
栗原さんが話すに、児相の職員が1人あたり抱えている案件は数多いのだそう。そうなるとどこかで綻びが出てきてしまうこともあるのが、残念ながら実情なのかもしれない。
「どんなに切り離しても、保護はあくまで限定的であり、加害者側に24時間監視が付くわけでもない。今回の件で今さら施設を攻めても始まらないし、状況は変わらない。DV根絶には『加害者を変える』しか方法はないんです。それをしない限り、たとえ別居できたとしても、ストーカーなど別の被害に発展する可能性もある。抜本的な解決には決して繋がらないと声を大にして言いたいですね」
現在、警察が児童虐待の疑いで児童相談所に通告した数は8万人を超える。だが、加害者を更生する施設の数は日本に約10か所なのだそうだ。栗原さんが言うように、加害者の更生こそがDV根絶に向けての第一歩となるのは間違いないが、これでは明らかに環境が整っていない。
「加害者の更生は難しく、どうしても暴力を働いた過去に焦点を当てることが多いですが、大切なのは今と未来です。『過去に何をやったか』ではなく『どうすれば変われるのか?』」を考え、教えていかなければなりません」
8万人を超える児童虐待の通告数は、年々右肩上がりを続けている。実は取材中にも、栗原さんの元へ高齢者の女性からDVについての問い合わせが入った。年代を問わず被害者が存在することが実態なのである。
被害者を加害者の元から切り離すことももちろん大切であるが、今回の痛ましい事件を契機に、加害者側の更生にも目を向けてほしいと感じた。
加害者の更生施設が圧倒的に足りない現実
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