レッドソックスの本拠地フェンウェイパークで開催された「氷上かけっこ」にボストンっ子たち熱狂
インラインスケート世界王者で昨季からアイスクロス・ダウンヒルに参戦した安床武士は、「(特設コースからの眺めは)歴代のレッドソックスの選手たちも“見たことのない景色”。そうした幸せをかみしめたい」と球場を目に焼き付けていた。
ジュニア部門3位と、日本人初の表彰台に登った山内斗真は、球場に入る際のセキュリティゲートで、手荷物チェックの済んだバッグにつけられるタグに興奮。「レッドソックスのマークでかっこいいから、もっと付けてって頼んじゃいました」と無邪気に笑う。
観戦に訪れた日本人にも出会うことができた。ハイテク産業の盛んなボストンに赴任しているボストン在住のエリート研究者で、聞けば「野球もまあまあ好きだけれど、フェンウェイ・パークでやっているのなら面白そうかな」「せっかくだから、日本人選手の応援をしたい」と、やってきたのだった。
氷点下の寒空にもかかわらず、レースが進むごとに場内の熱気は高まっていき、コース全体が見渡せる5階席は立ち見の観客で、前が見えなくなるほどになった。レースの合間には、名物の「Take Me Out to the Ball Game(私を野球に連れてって)」「Sweet Caroline(スイート・キャロライン)」が、オルガン演奏とともに流れ、球場中で大合唱が起きた。
アメリカ人選手が滑れば、どこからともなく「USA!USA!」のチャントが響き渡る。なかには選手のことを知らないのだろう。ただ「Go! You! Go! American!(行け!そこのお前!がんばれ!アメリカ人!)」と声を枯らさんばかりに応援する人の姿も。
そうした熱烈な地元ファンの応援の結果、ボストン大会は男子・女子・ジュニアのすべての部門で、キャメロン・ナーズ、アマンダ・トルンゾ、ジョジョ・ベラスケスという、アメリカ人のトップ選手がそれぞれ優勝をさらった。
早い話が氷上のかけっこ。シンプルなルールはファンを選ばず、見れば誰もがすぐにのめり込める。沢山の人が、「面白そうだから」と駆けつけたようだった。
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