レッドソックスの本拠地フェンウェイパークで開催された「氷上かけっこ」にボストンっ子たち熱狂
現地2月8日から9日にかけて、ボストン・レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークで開催された、アイスクロス・ダウンヒル世界大会は、凍える夜を熱狂と興奮の渦に包んだ。
9日の決勝当日、気温はほぼ一定で、マイナス2~3度。ニットキャップを目深に被り、マフラーに顔を埋めていても、吹き付ける風で涙が流れる寒さだ。そうしたなか、「ATSX1000レッドブル・クラッシュドアイス・ボストン」のチケットを握りしめたボストンっ子が、入場ゲート前に列をつくっていた。
開場と同時に大勢のファンがなだれ込む。入場エリアはコース脇のほか、レッドソックスを応援する時と同じ観客席だ。すべて屋外。かなりの人が大会開始前までの間、コンコースの売店で暖を取っていたので、あちこちで話を聞いてみた。
「正直、この寒さだから、そのうち脱落して帰る観客がどのぐらい出てくるか見ものだわ」
若い女性2人組は、レース前にそう“予言”した。父親が球場で働いているため、このイベントのことを知ってやってきた。競技のことは知らなかったが、「面白そう、と思って来ただけなの」という。
男女のグループ4人組は、うち男性1人がアイスホッケー好きで、友人を呼びかけて来たらしい。「ずっと生で見たいと思ってたんだよ!」と、興奮気味に話す。連れの男性は、「僕はフェンウェイ好きだから、ここでのイベントなら良いかもって付き合ったんだ」と一歩引いた感じだ。
野球好きかどうか、レッドソックスのファンかを尋ねると、全員がうなずいた。ところが、少し間をおいて女性が耳打ちをしてきた。「実はヤンキースファンなの」。そこで「私もヤンキースは好き」と同意したら、「えー!」「なにぃ!」と男性陣。すかさず「ボストンにもヤンキースファンは結構いるのよ」と、もう1人の女性がフォローした。
この話を裏付けるかのように、メディアルームのセキュリティをしていた男性はヤンキースファンだった。他にも、「実は」と他チームや他スポーツのファンを公言し、それぞれが思い思いのチームのユニフォームやグッズを身に着けていることに気がつく。
よく見かけたのは、NHLで地元ボストンが本拠のアイスホッケーチーム、ボストン・ブルーインズのユニフォームを着た人。アイスクロス・ダウンヒル選手のバックグラウンドは、アイスホッケーが多いので納得だ。
それ以上に見かけたのは、同じマサチューセッツ州が本拠のNFLチーム、ニューイングランド・ペイトリオッツ(愛称はパッツ)のジャンバーや帽子を被った人。パッツは、ちょうど前週にスーパーボウルを制し、4日前にここボストンで優勝パレードが大々的に行われたばかり。そのせいか、レッドソックスのマークよりも、パッツマークを多く見かける。
いや、パッツファンでレッドソックスファンという人も少なからずいたようだ。アメリカでは、季節ごとに様々なスポーツを楽しむファンが多いので、ちょうど地元ではNFLムード冷めやらず、といったところだろう。
アイスホッケー好き、フェンウェイ好き、隠れヤンキースファンも
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